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《読んで楽しむ、つながる》小説好きのためのコミュニティ! 月額800円で、人気作家の作品&インタビューや対談、エッセイが読み放題。作家の素顔や創作秘話に触れられるオンラインイベントのほか、お題企画や投稿イベントなど参加型企画も盛りだくさんでお届けしていきます。

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  • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」

    24歳の若き天才ピアニスト・藤田真央氏によるエッセイ

  • 稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)

    南インド料理店「エリックサウス」総料理長にして、ジャンルを問わず何にでも喰いつく変態料理人。あふれ出る食いしん坊パワーで、世界を味わい尽くすエッセイをお届けします。月イチ連載

  • 今井真実「ひとりでまんぷく」(*食エッセイ)

    料理家・今井真実さんが、ひとりで味わう至福の時間を綴るグルメエッセイです。

  • 【単行本発売中】今村翔吾「海を破る者」

    日本を揺るがした文明の衝突がかつてあった――その時人々は何を目撃したのか? 人間に絶望した二人の男たちの魂の彷徨を、新直木賞作家が壮大なスケールで描く歴史巨篇

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第12回 今井真実|じっくり焼いて、ガブリ! 初夏に蘇る、鮎の記憶

 初夏になると、スーパーでいのいちばんにチェックするのは鮮魚売り場。探し物の目的は「鮎」である。  私は子供の頃から鮎が大好物。この季節は今か今かといつも鮎の登場を待ち侘びている。幸運なことに夫も鮎に目がなく、週に何度も夕食に出したって、いつでもまるで初めて食べるかのように歓声を上げる。この時期は食卓に鮎の塩焼きを出すだけで大人たちは大喜びだから、ある意味ラクなのである。  それに引き換え、子どもたちの反応はまだら。大人顔負けに一心不乱に食べることもあるが、一口二口かじってそ

ピアニスト・藤田真央エッセイ #58〈魔法のような室内楽――タメスティとの共演〉

『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 ”宝箱”との誉れ高いブラームス・ザールは、精巧で眩い装飾と豊かな響きを併せ持つ素晴らしいホールだ。客席の中央ではブラームスの像が静かに耳を澄ましている。音響の質は別格で、私の代名詞であるまろやかな音が会場の隅々まで減衰することなく響き渡る。ひとたびタッチのニュアンスを変えれば、客席に飛んでいく音色も万華鏡のように変化した。私が最重要視している一音一音の響きへのこだわりを、このホ

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ピアニスト・藤田真央エッセイ #57〈矢代秋雄との出逢い――新アルバム・レコーディング〉

『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  ソニー・クラシカルインターナショナルから私の新アルバム「72 Preludes ショパン/スクリャービン/矢代秋雄:24の前奏曲」のリリースが発表された。私たちチームにとっても大いに待ち焦がれた逸品である。  実のところ、2022年に発売したモーツァルト「ピアノ・ソナタ全集」の次回作について、私たちは何度もミーティングを重ねたが、どの案もしばし難航した。三人の作曲家による《2

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〝心の中〟の文学少女が息を吹き返したのは|株式会社水星代表・ホテルプロデューサー・龍崎翔子の愛読書

 私が文学少女だったのは、中学を卒業するまでだった。  ホテル経営者として日々忙殺されながらスマホを眺め続けている今はもはや見る影もないが、かつては実に心から読書を愛する少女だったのである。 「史記」を原文で読みこなすような母のもとに生まれ、幼少期は古典文学の英才教育を受け、保育園ではおままごとに誘われるたびに「お姉ちゃん役」を買って出て、「受験生だから勉強してくるわ」といっては隣の教室にかけこんで、ずっとひとりで図鑑をめくっているような子どもだった。  小学生の頃は、

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ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」

24歳の若き天才ピアニスト・藤田真央氏によるエッセイ

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ピアニスト・藤田真央エッセイ #58〈魔法のような室内楽――タメスティとの共演〉

『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 ”宝箱”との誉れ高いブラームス・ザールは、精巧で眩い装飾と豊かな響きを併せ持つ素晴らしいホールだ。客席の中央ではブラームスの像が静かに耳を澄ましている。音響の質は別格で、私の代名詞であるまろやかな音が会場の隅々まで減衰することなく響き渡る。ひとたびタッチのニュアンスを変えれば、客席に飛んでいく音色も万華鏡のように変化した。私が最重要視している一音一音の響きへのこだわりを、このホ

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ピアニスト・藤田真央エッセイ #57〈矢代秋雄との出逢い――新アルバム・レコーディング〉

『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  ソニー・クラシカルインターナショナルから私の新アルバム「72 Preludes ショパン/スクリャービン/矢代秋雄:24の前奏曲」のリリースが発表された。私たちチームにとっても大いに待ち焦がれた逸品である。  実のところ、2022年に発売したモーツァルト「ピアノ・ソナタ全集」の次回作について、私たちは何度もミーティングを重ねたが、どの案もしばし難航した。三人の作曲家による《2

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ピアニスト・藤田真央エッセイ #56〈ウィーン・リサイタルデビュー――コンツェルトハウス〉

#55へ / #1へ戻る / TOPページへ 『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  2024年3月15日、私は再びウィーンの地にいた。”再び”というのは、2月にアントワン・タメスティと共にウィーン楽友協会の〈ブラームスザール〉でデュオリサイタルを行い、その次週にはウィーン交響楽団と共に、念願の〈グローサーザール〉デビューを果たしたのだ。この模様はまた次号で触れたい。  ウィーンはとてもコンパクトな街で、空港か

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ピアニスト・藤田真央エッセイ #55〈ホフマンとシューマン――小説から生まれた音楽〉

『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  ドイツに拠点を移して早2年。これまで世界各国での旅の模様をお伝えしてきたが、その合間にしっかりと大学へも通っていた。演奏旅行を終えて大きなキャリーケースを引きながら大学へ直行したり、レッスンを受けたその足で公演に向かったりすることもしばしば。このように授業に出席できる日は必ず出席し、また時折教授に善処して頂いたお陰で、なんとか単位を揃えることができた。そして遂に今春、ハンス・

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稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)

南インド料理店「エリックサウス」総料理長にして、ジャンルを問わず何にでも喰いつく変態料理人。あふれ出る食いしん坊パワーで、世界を味わい尽くすエッセイをお届けします。月イチ連載

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  • 29本

イナダシュンスケ|ラーメン不満足化待望論

第26回 ラーメン不満足化待望論 いきなり大きな話から始めますが、人はいったい何を求めて小説やエッセイを読むのでしょう? そんなの十人いたら十通りの答えが返ってきそうですが、そこにおいて「共感」は、誰にとっても大事な要素であるということは言えるはずです。読者は著者や登場人物、なかんずく主人公に共感しつつ、物語を擬似体験する。それが読書の醍醐味であることは間違いありません。  食エッセイという分野においても、この「共感」は、極めて重要なのではないかと思います。大抵の場合、著者

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イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈後篇〉

▼まずは〈前篇〉をお読みください。 全文無料公開中! 第25回 とんかつ武士道〈後篇〉  さて、僕は六騎のとんかつのうちの半分を、塩とカラシのみで仕留めました。これは言うなれば忍びの兵法です。くない一本でここまで戦ってきました。初手から本丸のど真ん中に忍び込み、大将であるL3の寝首を搔き、物音を聞いて駆けつけた足軽L1を難なく仕留め、L3を師と慕う若侍L2もあっさりと倒してしまいました。ここまでは闇討ちでした。しかしここからは少し趣が変わります。燦々と陽の光に照らされる、

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【無料公開】イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈前篇〉

第25回 とんかつ武士道〈前篇〉  とんかつ、と言えばロースかつです。「いや、ヒレかつのことも忘れてもらっては困る」と言う人もいるでしょうが、そういう人でもおそらく、とんかつと聞いて即、脳裏に浮かぶのはロースカツの姿なのではないでしょうか。  そのとんかつは、縦のラインで切断されています。カット数は様々ではありますが、概ね6切れが標準です。僕は常々、世の人々はとんかつひと切れひと切れを十把一絡げ的に扱いすぎなのではないか、という微かな不満を抱いています。なぜならその6切れ

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イナダシュンスケ|同情の手羽先弁当

第24回 同情の手羽先弁当  高校生の頃、たまたま隣の席になったFくんとちょっと仲良くなりました。僕も彼も音楽が好きで、当時ギターを練習し始めていたという共通項があったからだったと思います。もっとも音楽の趣味は全く嚙み合いませんでした。Fくんが好きなのはヘヴィメタルであり、僕の好みはイギリスのニューウェーブでした。それはともかく僕たちは、どちらもちょっとぼうっとしたタイプだったこともあり、熱く語り合う親友同士、みたいないかにもセイシュンっぽい間柄になるでもなしに、極めて淡々

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今井真実「ひとりでまんぷく」(*食エッセイ)

料理家・今井真実さんが、ひとりで味わう至福の時間を綴るグルメエッセイです。

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第11回 北海道で酔いしれた、絶品お寿司 ひとりでまんぷく 今井真実

 次の出張は北海道と聞いてから、暇さえあれば「寿司 ウニ 札幌」でネット検索をしていた。だって北海道といえば、ウニではないか! 豊富な魚介類があるのは承知の上だが、なんせ夏だし、普段は滅多に食べることのないウニを食べたいのだ。口いっぱいに頬張り、あのとろける甘みを、磯の香りを、なめらかな喉越しを味わいたい。その瞬間を、想像するだけで鼻息が荒くなってしまう。ホテルを予約することさえもすっかり忘れて、ここ最近の私の趣味はもはや「札幌のウニのおいしいお店を探すこと」になっていた。

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今井真実|叫びたくなる美味しさ! 高級クレープの衝撃

 レシピの撮影の後には、いつも「最近食べた美味しいもの」の話で盛り上がる。みんながみんな食に関わる仕事だからだろうか、それぞれのアンテナときたら、すさまじい迫力を感じられる。待ってましたとばかりに誰かが情報を披露すると、みんなで検索して一斉にGoogleマップにピンを付けていく。投稿された写真を見ては、なにこれ! 美味しそう! とわいわいと大騒ぎ。さっき試食を終えたばかりなのに、今から食べに行っちゃいたいくらいよねえといつも煩悩に苛まれるのだ。  先日もいらしたスタッフの1

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今井真実|韓国の朝ごはんで心も身体もぽかぽかに

 娘が起きない。窓の外は花曇りの春の朝。あいにくの曇り空だけれども、時折日が差し込み、寒さは和らいでいるように見える。  かれこれ、7時30分頃から娘に声をかけて、もう9時をまわってしまった。かくいう私もうっかり二度寝をしてしまったのだけれど。    娘と初めての二人旅でやってきたのはソウル。娘は無論、私も人生初の韓国旅行だった。昨日のお昼に到着して、今朝は初めての朝ごはん。旅行中は一食たりとも無駄にしたくないから、早く朝食を食べに行きたいというのに、いっこうに娘は起きない。

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今井真実 第8回 瞑想は煮込み料理で――とろとろポトフのおいしい秘密

 鍋のふたを開けると、濁りのない澄んだスープが出来ていた。かれこれ2時間ほど、ことことと煮込まれている。とろとろの牛スネ肉に菜箸を刺すと、なんのとっかかりもなくすっと入った。  まずまず。これは成功と言っていいだろう。味見をするために小皿によそい、そっとすする。ああ。なんて豊かな味だろう! 思わず「いいねいいね」と声が出る。食材の命が丁寧に抽出され、透明なスープに溶け込んでいる。  次に塊のまま煮込んでいた牛肉を取り出し、まな板に載せてスライスした。なんていい眺めなのだろう

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【単行本発売中】今村翔吾「海を破る者」

日本を揺るがした文明の衝突がかつてあった――その時人々は何を目撃したのか? 人間に絶望した二人の男たちの魂の彷徨を、新直木賞作家が壮大なスケールで描く歴史巨篇

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  • 2本

今村翔吾『海を破る者』冒頭試し読み

序章  時を追う毎に一人、また一人と、集まって来る。  壁の無い茅舎のような粗末な御堂には、弟子や教えを聞きに来た近郷の僧で溢れ返り、その周囲を数十の民たちが取り囲んでいる。  一遍はすくと立ち上がった。他の僧たちも慌てて立ち上がろうとするのを手で制す。 「まだよ」  弟子の一人が物言いたげな目をしている。 「暑いな」  一遍は手で大袈裟に顔を扇いでみせた。  狭い御堂に三十人以上の僧が詰まっており、その中心に一遍は座していた。折角、心地よい風が吹き抜けているのに、ここは人

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今村翔吾「海を破る者」 はじまりのことば

 世界の長い歴史において最も大きな版図を築いた国はどこか。面積ならば第1位は大英帝国で、その国土は3370万㎢に及ぶ。だが当時の世界における人口比率で考えると20%で、大英帝国は首位から陥落する。  では人口比率から考えた第1位はどこの国か。それが本作の一つの核となるモンゴル帝国である。その領土はあまりにも広大で西は東ヨーロッパから、東は中国、朝鮮半島まで、ユーラシア大陸を横断している。そして当時の世界人口の25・6%、実に4人に1人がモンゴル帝国の勢力圏で暮らしていたこと

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