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  • 寺地はるな「リボンちゃん」(*小説)

    女性の下着はキュートでセクシー? そんな固定観念を解きほぐす寺地はるなの連載小説

  • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」

    24歳の若き天才ピアニスト・藤田真央氏によるエッセイ

  • #ミステリー小説が好き

    #ミステリー小説が好き

  • 稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)

    南インド料理店「エリックサウス」総料理長にして、ジャンルを問わず何にでも喰いつく変態料理人。あふれ出る食いしん坊パワーで、世界を味わい尽くすエッセイをお届けします。月イチ連載

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【直木賞ノミネート!】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』第1話無料公開 ~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

〈タワマン文学〉の旗手・麻布競馬場待望の第2作『令和元年の人生ゲーム』。発売直後から「他人ごととは思えない!」と悲鳴のような反響が続々と…… 4月、やる気に満ちた新入生の皆さまの応援企画として、第1話〈意識の高い慶應ビジコンサークル篇〉を期間限定で全文無料公開いたします! これを読めば5月病も怖くない……はずです。 『令和元年の人生ゲーム』 第1話 平成28年  2016年の春。徳島の公立高校を卒業し、上京して慶応義塾大学商学部に通い始めた僕は、ビジコン運営サークル「イ

    • 背筋|オシャレ大好き【ホラー短篇】

      オシャレ大好き  コンクリートのふちに足をかける。下から吹き上げる風が心地好い。この気持ちはアドレナリンのせいなのか。怖いと感じない私はおかしいのだろうか。下を見つめる。サラリーマン風の男が足早に歩いている。私はやっと解放される。こんな世界から。 「さようなら」  そう話したあと、宙に身を躍らせた。風の音が耳に響く。歩道の地面が猛スピードで迫る。身体の奥から木の枝をまとめて折ったようなバキッという音が響いた気がした。 ※※※※※ 「これ、素材はなにを使ってるの?」  磨

      ¥250〜
      割引あり
      • 寺地はるな「リボンちゃん」#004

        第四話 「乾杯!」の掛け声とともに、隣に立っていた知らない男性のコップがありえない角度に傾き、あ、と思うまもなくわたしのシャツの肩は濡れていた。こぼれたビールはじわじわと染みて胸元まで到達しようとしている。 「わ、こりゃ大変だ。ごめんね、だいじょうぶ?」 「気にしないでください、洗えば落ちますから」  わたしはハンカチでシャツを押さえながら立ち上がった。数メートル先のバーベキューコンロで焼いている肉の匂いが鼻孔をくすぐり、お腹がぐうと鳴る。  よかった。バーベキューをやる、と

        • 鈴木忠平『ビハインド・ゲーム』 はじまりのことば

           なぜ、この人物を書こうと思ったのですか?  新刊を書くと、インタビュアーの人からこう質問していただく。その度、的確な表現の見つからない私は「翳があるから」だとか、「逆風を浴びているから」だとか口にしながら、なにか言い足りてないな……と感じてきた。先だってはついに、「言葉で表現できない人だからです」などと答えてしまった。書き手としてアリなのか? 帰り道に落ち込んだが、本当にそうとしか言えなかったのだから仕方がない。  言葉ではうまく説明できないが、感覚としては分かっている。例

          • 鈴木忠平・新連載スタート!「ビハインド・ゲーム」#001

            プロローグ 開場の日は朝から雲ひとつなかった。生えそろったばかりの天然芝と真っさらなアンツーカーが北の大地の柔らかな陽の光を浴びている。球場のコンコースでひとり、その静謐な光景を飽くことなく眺め続けている男は球団のフロントマンである。濃紺のスーツにチームのシンボルカラーであるスカイブルーのネクタイを締めた彼の胸の裡にはひとつの感慨が宿っている。その感慨がいつまでも彼をその場に立たせていたのだった。  やがてそんな想いを知るよしもないファンたちが、フロントマンの脇を抜け、我先に

            • 太田愛・新連載スタート!『ヨハネたちの冠』 #001

              第一章 夏至の夜に始まった六月二十一日 午後八時四十分 「最速で行ってきてよ!」  姉の青明が、リビングからのけぞるように廊下へ顔だけ出して叫んだ。両手はムーニーのお尻拭きで理久の尻を拭いているのだ。階段下の物入れの戸が大きく開け放たれているのは、買い置きの紙おむつが切れているのを発見した際の衝撃をものがたっている。 「わかってるよ!」  紺野透矢は運動靴をつっかけて玄関を出ると、一家に一台きりのママチャリにまたがり、紙おむつを買うために立ち漕ぎでドラッグストアへと急いだ。

              • 太田愛『ヨハネたちの冠』 はじまりのことば

                 編集者のKさんとAさんに初めてお目にかかったのは『彼らは世界にはなればなれに立っている』を上梓した四年前の秋だった。それ以前の三つの長編、『犯罪者』『幻夏』『天上の亜』が現代社会を舞台にしたいわゆるクライムサスペンスであったのに対して、『彼らは世界に~』はまったく趣が異なり、いつの時代ともわからない〈塔の地・始まりの町〉で繰り広げられる物語だ。期待されている世界観でないことはわかっていた。案の定、上梓直後の読者の評は真っ二つに分かれた。  よりによってその『彼らは世界に~』

                • 発売即重版! 彼を見殺しにした男達を許さない――どんでん返しミステリ|くわがきあゆ『復讐の泥沼』インタビュー

                   怒濤の展開、次から次に予想が裏切られる……そんな一冊が誕生した。くわがきあゆさんの最新刊『復讐の泥沼』(宝島社文庫)だ。くわがきさんは2022年に『レモンと殺人鬼』で第21回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞、同作は現在30万部超のベストセラーとなり、大きな話題となった。 「いつか復讐を動機とするミステリを書いてみたいなと思っていました。私は本格ミステリよりも、どちらかというと社会派ミステリが好きなんです。笹本稜平さん、薬丸岳さん、相場英雄さん、下村敦史

                  • ルームシェアで〝一生最強〞を目指す!自由な未来の選択肢を示した傑作――小林早代子『たぶん私たち一生最強』インタビュー

                     そんな叫びから始まる『たぶん私たち一生最強』。花乃子、百合子、澪、亜希——高校時代からの女友達である4人が、ルームシェアを通じて大マジメに〝一生最強〟の人生を目指す物語だ。  著者の小林早代子さんは2015年に「くたばれ地下アイドル」で第14回「女による女のためのR―18文学賞」読者賞を受賞し同作でデビュー、本作は2作目となる。出発点は、『小説新潮』の官能小説特集に掲載された短篇「よくある話をやめよう」だった。 「海外ドラマの『フレンズ』が大好きで、友達同士で近くに住ん

                    • 朝倉かすみ×和田秀樹「人間は齢を取れば取るほど幸せになるようにできている」

                      「お年寄り」にも個人差がある朝倉 今日はよろしくお願いします。うちの母が、私が和田先生と対談すると知ったらそんな有名な人とお話しできるなんて、ずいぶん出世したねってすごく喜んでいて(笑)。この『老いるが勝ち!』をちょうだい、と言ってきたくらい。 和田 おかげさまでというか、最近、お年寄りたちのアイドルっぽくなってるみたいで(笑)。  ぼくも朝倉さんの『よむよむかたる』を拝読しました。高齢者を専門に診てきた医者の立場からしても、とてもリアルな描写があっていいなと思いました

                      • 「リアル変な家」|はやせやすひろ×クダマツヒロシ

                        「――人間の■■です」    周囲の客に聞かれないようテーブルに身を乗り出し、声を潜めて須藤(仮名)さんが告げる。それはその言葉自体が呪詛の意味を持つような不吉な響きだった。気づけばさっきまで賑やかだった店内は、がらんと静まり返っている。まるで得体の知れない何かが、ほかの誰にも聞かれまいと人を拒絶しているようにも思えた。 「なんでそんなものが……」  窓の外はすでに日が落ちかけていた。  数年前の4月。僕のもとに、須藤さんという男性から一通のメールが届いた。そこには簡単な挨

                        ¥300
                        • 朝倉かすみ×中島京子『よむよむかたる』刊行記念対談~幸福な時間が溢れだす、人生を語る読書会~

                          お年寄りを見てると、驚きと好奇心が止まらない中島 朝倉さんはいつ北海道に転居されたんですか? 朝倉 コロナ禍も終盤になった2022年の夏頃です。コロナ禍の最中にうちの父親が亡くなって死に目にも会えませんでした。それで、うちの母がちょっと弱っちゃったんですね。当時はまだコロナに勢いがあったので、東京にいると行き来すること自体もままならなくて。母が元気なうちにたくさん会っておきたいなと思って、東京から引っ越すことにしました。 中島 今回の『よむよむかたる』は、小樽が舞台ですよ

                          • 平均年齢85歳!老人たちの読書会で感じた〝ワンダー感〟――朝倉かすみロングインタビュー

                            作家の書き出し Vol.33 〈取材・構成:瀧井朝世〉 ◆個人的な思いを語る読書会があってもいい――新作『よむよむかたる』は、北海道は小樽の古民家カフェで開かれる高齢者の読書サークルのお話ですね。ものすごく楽しく読みましたが、どういう出発点だったのですか。 朝倉 編集者の方たちとお話ししている時に、うちの母親の話になったんです。母親がもう二十年くらい読書会に参加しているという話をだらだらしていたら、「それを書けばいいじゃないですか」と。 ――朝倉さんのお母さんといえば、

                            • ピアニスト・藤田真央エッセイ #64〈夏の終わり――デュトワとの共演〉

                              『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 8月3日 「ミルクバー」でブランチ。  今年のスケジュールは自由時間が限りなく少なかったが、それでもお気に入りのこのお店に2回も訪れることができた。ヴェルビエ滞在のラストに好物のオレオミルクシェイクを飲むことができて嬉しい。  17時からはサン=サーンス《ピアノ協奏曲第2番》のリハーサルがあった。あまり弾かれる機会の少ない作品のため、私もオーケストラの団員も感触を掴むのに苦

                              • ピアニスト・藤田真央エッセイ #63〈エベーヌ四重奏団との共演、テントでのリサイタル〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 7月29日  昨日のアドヴェンチャーから一夜明け、朝の10時からエベーヌ四重奏団とのリハーサルが始まった。いつの日か共演してみたいと願っていた、世界屈指の四重奏団と演奏する機会に恵まれたのだ。もっとも我々日本人にとっては、この名門カルテットにチェリストの岡本侑也君が2024年1月に加入したニュースは喜ばしい。彼とは以前から親交があって何度か共演したこともあり、今回エベーヌメン

                              • 固定された記事

                              【直木賞ノミネート!】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』第1話無料公開 ~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

                              マガジン

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                                ¥800 / 月
                              • 寺地はるな「リボンちゃん」(*小説)
                                6本
                              • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」
                                65本
                              • #ミステリー小説が好き
                                244本
                              • 稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)
                                32本
                              • 一穂ミチ「アフター・ユー」(*小説)
                                6本

                              記事

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                                【直木賞ノミネート!】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』第1話無料公開 ~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

                                〈タワマン文学〉の旗手・麻布競馬場待望の第2作『令和元年の人生ゲーム』。発売直後から「他人ごととは思えない!」と悲鳴のような反響が続々と…… 4月、やる気に満ちた新入生の皆さまの応援企画として、第1話〈意識の高い慶應ビジコンサークル篇〉を期間限定で全文無料公開いたします! これを読めば5月病も怖くない……はずです。 『令和元年の人生ゲーム』 第1話 平成28年  2016年の春。徳島の公立高校を卒業し、上京して慶応義塾大学商学部に通い始めた僕は、ビジコン運営サークル「イ

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                                背筋|オシャレ大好き【ホラー短篇】

                                オシャレ大好き  コンクリートのふちに足をかける。下から吹き上げる風が心地好い。この気持ちはアドレナリンのせいなのか。怖いと感じない私はおかしいのだろうか。下を見つめる。サラリーマン風の男が足早に歩いている。私はやっと解放される。こんな世界から。 「さようなら」  そう話したあと、宙に身を躍らせた。風の音が耳に響く。歩道の地面が猛スピードで迫る。身体の奥から木の枝をまとめて折ったようなバキッという音が響いた気がした。 ※※※※※ 「これ、素材はなにを使ってるの?」  磨

                                背筋|オシャレ大好き【ホラー短篇】

                                寺地はるな「リボンちゃん」#004

                                第四話 「乾杯!」の掛け声とともに、隣に立っていた知らない男性のコップがありえない角度に傾き、あ、と思うまもなくわたしのシャツの肩は濡れていた。こぼれたビールはじわじわと染みて胸元まで到達しようとしている。 「わ、こりゃ大変だ。ごめんね、だいじょうぶ?」 「気にしないでください、洗えば落ちますから」  わたしはハンカチでシャツを押さえながら立ち上がった。数メートル先のバーベキューコンロで焼いている肉の匂いが鼻孔をくすぐり、お腹がぐうと鳴る。  よかった。バーベキューをやる、と

                                寺地はるな「リボンちゃん」#004

                                鈴木忠平・新連載スタート!「ビハインド・ゲーム」#001

                                プロローグ 開場の日は朝から雲ひとつなかった。生えそろったばかりの天然芝と真っさらなアンツーカーが北の大地の柔らかな陽の光を浴びている。球場のコンコースでひとり、その静謐な光景を飽くことなく眺め続けている男は球団のフロントマンである。濃紺のスーツにチームのシンボルカラーであるスカイブルーのネクタイを締めた彼の胸の裡にはひとつの感慨が宿っている。その感慨がいつまでも彼をその場に立たせていたのだった。  やがてそんな想いを知るよしもないファンたちが、フロントマンの脇を抜け、我先に

                                鈴木忠平・新連載スタート!「ビハインド・ゲーム」#001

                                鈴木忠平『ビハインド・ゲーム』 はじまりのことば

                                 なぜ、この人物を書こうと思ったのですか?  新刊を書くと、インタビュアーの人からこう質問していただく。その度、的確な表現の見つからない私は「翳があるから」だとか、「逆風を浴びているから」だとか口にしながら、なにか言い足りてないな……と感じてきた。先だってはついに、「言葉で表現できない人だからです」などと答えてしまった。書き手としてアリなのか? 帰り道に落ち込んだが、本当にそうとしか言えなかったのだから仕方がない。  言葉ではうまく説明できないが、感覚としては分かっている。例

                                鈴木忠平『ビハインド・ゲーム』 はじまりのことば

                                太田愛・新連載スタート!『ヨハネたちの冠』 #001

                                第一章 夏至の夜に始まった六月二十一日 午後八時四十分 「最速で行ってきてよ!」  姉の青明が、リビングからのけぞるように廊下へ顔だけ出して叫んだ。両手はムーニーのお尻拭きで理久の尻を拭いているのだ。階段下の物入れの戸が大きく開け放たれているのは、買い置きの紙おむつが切れているのを発見した際の衝撃をものがたっている。 「わかってるよ!」  紺野透矢は運動靴をつっかけて玄関を出ると、一家に一台きりのママチャリにまたがり、紙おむつを買うために立ち漕ぎでドラッグストアへと急いだ。

                                太田愛・新連載スタート!『ヨハネたちの冠』 #001

                                太田愛『ヨハネたちの冠』 はじまりのことば

                                 編集者のKさんとAさんに初めてお目にかかったのは『彼らは世界にはなればなれに立っている』を上梓した四年前の秋だった。それ以前の三つの長編、『犯罪者』『幻夏』『天上の亜』が現代社会を舞台にしたいわゆるクライムサスペンスであったのに対して、『彼らは世界に~』はまったく趣が異なり、いつの時代ともわからない〈塔の地・始まりの町〉で繰り広げられる物語だ。期待されている世界観でないことはわかっていた。案の定、上梓直後の読者の評は真っ二つに分かれた。  よりによってその『彼らは世界に~』

                                太田愛『ヨハネたちの冠』 はじまりのことば

                                発売即重版! 彼を見殺しにした男達を許さない――どんでん返しミステリ|くわがきあゆ『復讐の泥沼』インタビュー

                                 怒濤の展開、次から次に予想が裏切られる……そんな一冊が誕生した。くわがきあゆさんの最新刊『復讐の泥沼』(宝島社文庫)だ。くわがきさんは2022年に『レモンと殺人鬼』で第21回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞、同作は現在30万部超のベストセラーとなり、大きな話題となった。 「いつか復讐を動機とするミステリを書いてみたいなと思っていました。私は本格ミステリよりも、どちらかというと社会派ミステリが好きなんです。笹本稜平さん、薬丸岳さん、相場英雄さん、下村敦史

                                発売即重版! 彼を見殺しにした男達を許さない――どんでん返しミステリ|くわがきあゆ『復讐の泥沼』インタビュー

                                ルームシェアで〝一生最強〞を目指す!自由な未来の選択肢を示した傑作――小林早代子『たぶん私たち一生最強』インタビュー

                                 そんな叫びから始まる『たぶん私たち一生最強』。花乃子、百合子、澪、亜希——高校時代からの女友達である4人が、ルームシェアを通じて大マジメに〝一生最強〟の人生を目指す物語だ。  著者の小林早代子さんは2015年に「くたばれ地下アイドル」で第14回「女による女のためのR―18文学賞」読者賞を受賞し同作でデビュー、本作は2作目となる。出発点は、『小説新潮』の官能小説特集に掲載された短篇「よくある話をやめよう」だった。 「海外ドラマの『フレンズ』が大好きで、友達同士で近くに住ん

                                ルームシェアで〝一生最強〞を目指す!自由な未来の選択肢を示した傑作――小林早代子『たぶん私たち一生最強』インタビュー

                                朝倉かすみ×和田秀樹「人間は齢を取れば取るほど幸せになるようにできている」

                                「お年寄り」にも個人差がある朝倉 今日はよろしくお願いします。うちの母が、私が和田先生と対談すると知ったらそんな有名な人とお話しできるなんて、ずいぶん出世したねってすごく喜んでいて(笑)。この『老いるが勝ち!』をちょうだい、と言ってきたくらい。 和田 おかげさまでというか、最近、お年寄りたちのアイドルっぽくなってるみたいで(笑)。  ぼくも朝倉さんの『よむよむかたる』を拝読しました。高齢者を専門に診てきた医者の立場からしても、とてもリアルな描写があっていいなと思いました

                                朝倉かすみ×和田秀樹「人間は齢を取れば取るほど幸せになるようにできている」

                                「リアル変な家」|はやせやすひろ×クダマツヒロシ

                                「――人間の■■です」    周囲の客に聞かれないようテーブルに身を乗り出し、声を潜めて須藤(仮名)さんが告げる。それはその言葉自体が呪詛の意味を持つような不吉な響きだった。気づけばさっきまで賑やかだった店内は、がらんと静まり返っている。まるで得体の知れない何かが、ほかの誰にも聞かれまいと人を拒絶しているようにも思えた。 「なんでそんなものが……」  窓の外はすでに日が落ちかけていた。  数年前の4月。僕のもとに、須藤さんという男性から一通のメールが届いた。そこには簡単な挨

                                「リアル変な家」|はやせやすひろ×クダマツヒロシ

                                朝倉かすみ×中島京子『よむよむかたる』刊行記念対談~幸福な時間が溢れだす、人生を語る読書会~

                                お年寄りを見てると、驚きと好奇心が止まらない中島 朝倉さんはいつ北海道に転居されたんですか? 朝倉 コロナ禍も終盤になった2022年の夏頃です。コロナ禍の最中にうちの父親が亡くなって死に目にも会えませんでした。それで、うちの母がちょっと弱っちゃったんですね。当時はまだコロナに勢いがあったので、東京にいると行き来すること自体もままならなくて。母が元気なうちにたくさん会っておきたいなと思って、東京から引っ越すことにしました。 中島 今回の『よむよむかたる』は、小樽が舞台ですよ

                                朝倉かすみ×中島京子『よむよむかたる』刊行記念対談~幸福な時間が溢れだす、人生を語る読書会~

                                平均年齢85歳!老人たちの読書会で感じた〝ワンダー感〟――朝倉かすみロングインタビュー

                                作家の書き出し Vol.33 〈取材・構成:瀧井朝世〉 ◆個人的な思いを語る読書会があってもいい――新作『よむよむかたる』は、北海道は小樽の古民家カフェで開かれる高齢者の読書サークルのお話ですね。ものすごく楽しく読みましたが、どういう出発点だったのですか。 朝倉 編集者の方たちとお話ししている時に、うちの母親の話になったんです。母親がもう二十年くらい読書会に参加しているという話をだらだらしていたら、「それを書けばいいじゃないですか」と。 ――朝倉さんのお母さんといえば、

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                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #64〈夏の終わり――デュトワとの共演〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 8月3日 「ミルクバー」でブランチ。  今年のスケジュールは自由時間が限りなく少なかったが、それでもお気に入りのこのお店に2回も訪れることができた。ヴェルビエ滞在のラストに好物のオレオミルクシェイクを飲むことができて嬉しい。  17時からはサン=サーンス《ピアノ協奏曲第2番》のリハーサルがあった。あまり弾かれる機会の少ない作品のため、私もオーケストラの団員も感触を掴むのに苦

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #64〈夏の終わり――デュトワとの共演〉

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #63〈エベーヌ四重奏団との共演、テントでのリサイタル〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 7月29日  昨日のアドヴェンチャーから一夜明け、朝の10時からエベーヌ四重奏団とのリハーサルが始まった。いつの日か共演してみたいと願っていた、世界屈指の四重奏団と演奏する機会に恵まれたのだ。もっとも我々日本人にとっては、この名門カルテットにチェリストの岡本侑也君が2024年1月に加入したニュースは喜ばしい。彼とは以前から親交があって何度か共演したこともあり、今回エベーヌメン

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #63〈エベーヌ四重奏団との共演、テントでのリサイタル〉

                                第14回 今井真実|食生活を整える。体重計の数字に驚いた日に作る、お味噌汁の素

                                 この夏、体重が3kgも増えてしまった。最高記録の更新である。   7月に行った韓国と台湾へのはしご出張は、連日会食続きでおいしいものを自制することなくたらふく食べてしまった。  きっとこれは大変なことになっているだろうな、と思っていたものの、その分いつもより歩いているしと、たかをくくっていたのだった。  帰国後、さあいよいよ現実と対峙しようか、と心の準備を整えてから体重計に乗ったところ……。目の前が真っ暗になり、うわんうわんと耳鳴りがする。いやいやこんなはずがない、間違い

                                第14回 今井真実|食生活を整える。体重計の数字に驚いた日に作る、お味噌汁の素