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《読んで楽しむ、つながる》小説好きのためのコミュニティ! 月額800円で、人気作家の作品&インタビューや対談、エッセイが読み放題。作家の素顔や創作秘話に触れられるオンラインイベントのほか、お題企画や投稿イベントなど参加型企画も盛りだくさんでお届けしていきます。

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  • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」

    24歳の若き天才ピアニスト・藤田真央氏によるエッセイ

  • 今井真実「ひとりでまんぷく」(*食エッセイ)

    料理家・今井真実さんが、ひとりで味わう至福の時間を綴るグルメエッセイです。

  • 【単行本発売中】岩井圭也「われは熊楠」(*小説)

    奇人・才人、南方熊楠を語る言葉はたくさんある。しかし果たして、彼が生涯を賭して追い求めたものとは一体何だったのか⁉ 新鋭・岩井圭也が渾身の力で挑む、博物学者・南方熊楠のすべて。

  • 稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)

    南インド料理店「エリックサウス」総料理長にして、ジャンルを問わず何にでも喰いつく変態料理人。あふれ出る食いしん坊パワーで、世界を味わい尽くすエッセイをお届けします。月イチ連載

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【直木賞ノミネート!】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』第1話無料公開 ~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

〈タワマン文学〉の旗手・麻布競馬場待望の第2作『令和元年の人生ゲーム』。発売直後から「他人ごととは思えない!」と悲鳴のような反響が続々と…… 4月、やる気に満ちた新入生の皆さまの応援企画として、第1話〈意識の高い慶應ビジコンサークル篇〉を期間限定で全文無料公開いたします! これを読めば5月病も怖くない……はずです。 『令和元年の人生ゲーム』 第1話 平成28年  2016年の春。徳島の公立高校を卒業し、上京して慶応義塾大学商学部に通い始めた僕は、ビジコン運営サークル「イ

    • ピアニスト・藤田真央エッセイ #55〈ホフマンとシューマン――小説から生まれた音楽〉

      『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  ドイツに拠点を移して早2年。これまで世界各国での旅の模様をお伝えしてきたが、その合間にしっかりと大学へも通っていた。演奏旅行を終えて大きなキャリーケースを引きながら大学へ直行したり、レッスンを受けたその足で公演に向かったりすることもしばしば。このように授業に出席できる日は必ず出席し、また時折教授に善処して頂いたお陰で、なんとか単位を揃えることができた。そして遂に今春、ハンス・

      • 「覗くと死ぬ鏡」|はやせやすひろ×クダマツヒロシ

        はやせ やすひろ 様  はじめまして。いつもYouTube楽しく拝見しております。  ××県××市に住む村川と申します。 〈呪物コレクター〉として活動されているはやせ様に、折り入ってご相談があり連絡致しました。  私の実家にある〈呪いの銅鏡〉についてです。  この銅鏡が原因で、私が知る限り少なくとも2人の親族が亡くなっています。  いずれも鏡面を覗いてから一週間以内に死んでいます。  一人は曾祖父、二人目は祖父です。祖父は12年前に蔵で鏡を見つけ、その6日後に死にました。

        有料
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        • 栗原ちひろ「余った家」

          「本当にここ?」  と問うてみたものの、ここ以外のどこでもないだろうという諦めはあった。  だらだらと続く坂の果て、広々とした区画は緑に埋もれており、中にある家の姿はさっぱり見えない。伸びすぎた庭木は一心に空を目指しているが、下の方はおざなりに枝を打たれた跡があった。近隣への配慮なのだろう。  この家の持ち主はかろうじて生きている、ということだ。 「ここだよ。美岬も見たことあるでしょう?」  たおやかな声で言い、女が小さな鞄の中を引っかき回す。ゆるく巻いたチェリーブラウンの髪

          • 阿津川辰海「山伏地蔵坊の狼狽」——有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします!

            1 この店から、最後の灯が消える。  という文章を思い浮かべれば、ロマンチックな気分になるかと思ったが、そうでもない。  僕、青野良児はほとんど機械的な動作で、レンタル落ちのビデオテープをレジに通していた。  僕は同い年の友人と二人で、町に五つあるレンタルビデオ店の一つを経営していた。しかし、時代の流れに抗えず、五つあった店は四つになり、三つになり、遂に最後の砦である僕たちの店も今日、店じまいをする。VHSからDVD、ブルーレイという流れまではついていくことが出来たが、配信サ

            有料
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            • 第171回直木賞ノミネート!! 型破りな天才にまるで「憑りつかれた」ように挑んだ日々――岩井圭也ロングインタビュー

              作家の書き出し Vol.31 〈取材・構成:瀧井朝世〉 ◆南方熊楠を描くなら自分の手で——岩井さんは毎作新しいことに挑戦されていて、新作の『われは熊楠』は初の評伝小説です。以前から知の巨人、南方熊楠に興味があったのでしょうか。 岩井 作家になる前から、いつか熊楠を書かなきゃいけないと思っていました。というのも、両親が和歌山の出身で、特に母方の実家は、まわりに南方姓がいっぱいいる地域だったんですよ。それで私も幼い頃から「南方といえば南方熊楠という人がいて」という話をよく聞い

              • イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈後篇〉

                ▼まずは〈前篇〉をお読みください。 全文無料公開中! 第25回 とんかつ武士道〈後篇〉  さて、僕は六騎のとんかつのうちの半分を、塩とカラシのみで仕留めました。これは言うなれば忍びの兵法です。くない一本でここまで戦ってきました。初手から本丸のど真ん中に忍び込み、大将であるL3の寝首を搔き、物音を聞いて駆けつけた足軽L1を難なく仕留め、L3を師と慕う若侍L2もあっさりと倒してしまいました。ここまでは闇討ちでした。しかしここからは少し趣が変わります。燦々と陽の光に照らされる、

                • 【無料公開】イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈前篇〉

                  第25回 とんかつ武士道〈前篇〉  とんかつ、と言えばロースかつです。「いや、ヒレかつのことも忘れてもらっては困る」と言う人もいるでしょうが、そういう人でもおそらく、とんかつと聞いて即、脳裏に浮かぶのはロースカツの姿なのではないでしょうか。  そのとんかつは、縦のラインで切断されています。カット数は様々ではありますが、概ね6切れが標準です。僕は常々、世の人々はとんかつひと切れひと切れを十把一絡げ的に扱いすぎなのではないか、という微かな不満を抱いています。なぜならその6切れ

                  • 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』著者・汐見夏衛さん絶賛! 『ナースの卯月に視えるもの』書評

                     桜が咲き、梅雨入りし、猛暑が続き、秋が来て、クリスマスソングが流れ始め、再び桜の花びらが舞う。季節の移り変わり、ゆっくりと流れていく時間の優しさ、でも確実に時が過ぎて死が近づく残酷さ。  静かな病棟で今日も卯月は、緩やかに確かに死へと向かっていく患者たちに真摯に向き合い、終わりまでの長くはない期間を少しでも快適に過ごしてもらえるようにと、日々奮闘する。  本作には、私もいつか治る見込みのない病気になり終わりを見つめるときが来たら、是非とも卯月や山吹や透子さんや御子柴主任や香

                    • 伊岡瞬「追跡」#005

                      13 火災二日目 樋口(承前)「その話は長くなるからやめましょう。知り合い、とだけ答えておきます」  二人の反応はない。顔もほとんど見えないので、機嫌がいいのか悪いのかもわからない。 「そんなことより、暗くなる前に腹ごしらえしませんか」  樋口は話題を変えた。ダッシュボードの時計は午後六時二分を表示している。返答を待たずに続ける。 「日没まであと一時間ほどですし、このあたりは山の陰になっているから、すでに日も翳り始めている。もっとも、刑事さんにとってはまだまだ宵の口かもしれま

                      • 今井真実|叫びたくなる美味しさ! 高級クレープの衝撃

                         レシピの撮影の後には、いつも「最近食べた美味しいもの」の話で盛り上がる。みんながみんな食に関わる仕事だからだろうか、それぞれのアンテナときたら、すさまじい迫力を感じられる。待ってましたとばかりに誰かが情報を披露すると、みんなで検索して一斉にGoogleマップにピンを付けていく。投稿された写真を見ては、なにこれ! 美味しそう! とわいわいと大騒ぎ。さっき試食を終えたばかりなのに、今から食べに行っちゃいたいくらいよねえといつも煩悩に苛まれるのだ。  先日もいらしたスタッフの1

                        • ピアニスト・藤田真央エッセイ #54〈20歳で作曲したカデンツァを――バイエルン放送交響楽団・後篇〉

                          『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  今年は嬉しいことに、ドイツの様々な地域での公演を控えている。ドイツと一言で言ってもいずれの都市も表情が異なり、それぞれに個性を持っていて面白い。  ここミュンヘンは空気が澄んでいてなんとも気持ちが良い。バイエルン州出身のマネージャー曰く、街を抜けたところにある牧場の香りが、時折風に乗って都心まで伝わってくるそうだ。私が住むベルリンと比較しても、多くの歴史的建造物がそのままの

                          • 「泣かせるのが上手」「何度も読み返したくなる」書店員さんの声を紹介します!

                            発売二週間経たぬうちに三刷りが決まった『#ナースの卯月に視えるもの』。全国の書店員さんから感動の声が届いています! ▼読者の皆様からの感想も続々と!

                            • ピアニスト・藤田真央エッセイ #53〈ビシュコフが伝えた極意――バイエルン放送交響楽団〉

                              『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  その劇薬を初めて手にしたのは5年前のことだった。持っているだけでカッコよく見える――そんな安直な理由がきっかけだった。小箱は愛煙家たちが集う大人の世界へのパスポートでもあり、亡き恩師・野島稔先生とお近づきになるための道しるべにもなってくれた。  野島先生のことを思い出せばいつも、煙を燻らせている姿が脳裏に浮かぶ。私は最初はピース、次は先生が愛用していたマルボロ・ゴールド、その

                              • 矢月秀作「桜虎の道」#007(最終回)

                                第6章1  春人は中目黒に来ていた。車で十分ほど南に行った場所でタクシーを停める。降りて、格子門の前に立つ。  玄関を見つめ、何度か逡巡したものの、インターホンを押した。  ——はい。  女性の声が聞こえてくる。 「春人です」  名を告げた。  春人が訪れたのは、義人のところではなく、池田の家だった。  孝蔵に言われ、一度は叔父の言うとおり、義人に電話をしようと思った。だが、どうしても父には連絡ができなかった。  プライドもある。畏怖もある。様々な感情が胸の内に渦巻き、混乱

                              • 固定された記事

                              【直木賞ノミネート!】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』第1話無料公開 ~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

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                              • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」
                                56本
                              • 今井真実「ひとりでまんぷく」(*食エッセイ)
                                10本
                              • 【単行本発売中】岩井圭也「われは熊楠」(*小説)
                                4本
                              • 稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)
                                28本
                              • 【単行本発売中】令和元年の人生ゲーム
                                4本

                              記事

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                                〈タワマン文学〉の旗手・麻布競馬場待望の第2作『令和元年の人生ゲーム』。発売直後から「他人ごととは思えない!」と悲鳴のような反響が続々と…… 4月、やる気に満ちた新入生の皆さまの応援企画として、第1話〈意識の高い慶應ビジコンサークル篇〉を期間限定で全文無料公開いたします! これを読めば5月病も怖くない……はずです。 『令和元年の人生ゲーム』 第1話 平成28年  2016年の春。徳島の公立高校を卒業し、上京して慶応義塾大学商学部に通い始めた僕は、ビジコン運営サークル「イ

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                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #55〈ホフマンとシューマン――小説から生まれた音楽〉

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                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #55〈ホフマンとシューマン――小説から生まれた音楽〉

                                「覗くと死ぬ鏡」|はやせやすひろ×クダマツヒロシ

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                                「覗くと死ぬ鏡」|はやせやすひろ×クダマツヒロシ

                                栗原ちひろ「余った家」

                                「本当にここ?」  と問うてみたものの、ここ以外のどこでもないだろうという諦めはあった。  だらだらと続く坂の果て、広々とした区画は緑に埋もれており、中にある家の姿はさっぱり見えない。伸びすぎた庭木は一心に空を目指しているが、下の方はおざなりに枝を打たれた跡があった。近隣への配慮なのだろう。  この家の持ち主はかろうじて生きている、ということだ。 「ここだよ。美岬も見たことあるでしょう?」  たおやかな声で言い、女が小さな鞄の中を引っかき回す。ゆるく巻いたチェリーブラウンの髪

                                栗原ちひろ「余った家」

                                阿津川辰海「山伏地蔵坊の狼狽」——有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします!

                                1 この店から、最後の灯が消える。  という文章を思い浮かべれば、ロマンチックな気分になるかと思ったが、そうでもない。  僕、青野良児はほとんど機械的な動作で、レンタル落ちのビデオテープをレジに通していた。  僕は同い年の友人と二人で、町に五つあるレンタルビデオ店の一つを経営していた。しかし、時代の流れに抗えず、五つあった店は四つになり、三つになり、遂に最後の砦である僕たちの店も今日、店じまいをする。VHSからDVD、ブルーレイという流れまではついていくことが出来たが、配信サ

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                                阿津川辰海「山伏地蔵坊の狼狽」——有栖川有栖デビュー35…

                                第171回直木賞ノミネート!! 型破りな天才にまるで「憑りつかれた」ように挑んだ日々――岩井圭也ロングインタビュー

                                作家の書き出し Vol.31 〈取材・構成:瀧井朝世〉 ◆南方熊楠を描くなら自分の手で——岩井さんは毎作新しいことに挑戦されていて、新作の『われは熊楠』は初の評伝小説です。以前から知の巨人、南方熊楠に興味があったのでしょうか。 岩井 作家になる前から、いつか熊楠を書かなきゃいけないと思っていました。というのも、両親が和歌山の出身で、特に母方の実家は、まわりに南方姓がいっぱいいる地域だったんですよ。それで私も幼い頃から「南方といえば南方熊楠という人がいて」という話をよく聞い

                                第171回直木賞ノミネート!! 型破りな天才にまるで「憑りつかれた」ように挑んだ日々――岩井圭也ロングインタビュー

                                イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈後篇〉

                                ▼まずは〈前篇〉をお読みください。 全文無料公開中! 第25回 とんかつ武士道〈後篇〉  さて、僕は六騎のとんかつのうちの半分を、塩とカラシのみで仕留めました。これは言うなれば忍びの兵法です。くない一本でここまで戦ってきました。初手から本丸のど真ん中に忍び込み、大将であるL3の寝首を搔き、物音を聞いて駆けつけた足軽L1を難なく仕留め、L3を師と慕う若侍L2もあっさりと倒してしまいました。ここまでは闇討ちでした。しかしここからは少し趣が変わります。燦々と陽の光に照らされる、

                                イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈後篇〉

                                【無料公開】イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈前篇〉

                                第25回 とんかつ武士道〈前篇〉  とんかつ、と言えばロースかつです。「いや、ヒレかつのことも忘れてもらっては困る」と言う人もいるでしょうが、そういう人でもおそらく、とんかつと聞いて即、脳裏に浮かぶのはロースカツの姿なのではないでしょうか。  そのとんかつは、縦のラインで切断されています。カット数は様々ではありますが、概ね6切れが標準です。僕は常々、世の人々はとんかつひと切れひと切れを十把一絡げ的に扱いすぎなのではないか、という微かな不満を抱いています。なぜならその6切れ

                                【無料公開】イナダシュンスケ|とんかつ武士道〈前篇〉

                                『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』著者・汐見夏衛さん絶賛! 『ナースの卯月に視えるもの』書評

                                 桜が咲き、梅雨入りし、猛暑が続き、秋が来て、クリスマスソングが流れ始め、再び桜の花びらが舞う。季節の移り変わり、ゆっくりと流れていく時間の優しさ、でも確実に時が過ぎて死が近づく残酷さ。  静かな病棟で今日も卯月は、緩やかに確かに死へと向かっていく患者たちに真摯に向き合い、終わりまでの長くはない期間を少しでも快適に過ごしてもらえるようにと、日々奮闘する。  本作には、私もいつか治る見込みのない病気になり終わりを見つめるときが来たら、是非とも卯月や山吹や透子さんや御子柴主任や香

                                『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』著者・汐見夏衛さん絶賛! 『ナースの卯月に視えるもの』書評

                                伊岡瞬「追跡」#005

                                13 火災二日目 樋口(承前)「その話は長くなるからやめましょう。知り合い、とだけ答えておきます」  二人の反応はない。顔もほとんど見えないので、機嫌がいいのか悪いのかもわからない。 「そんなことより、暗くなる前に腹ごしらえしませんか」  樋口は話題を変えた。ダッシュボードの時計は午後六時二分を表示している。返答を待たずに続ける。 「日没まであと一時間ほどですし、このあたりは山の陰になっているから、すでに日も翳り始めている。もっとも、刑事さんにとってはまだまだ宵の口かもしれま

                                伊岡瞬「追跡」#005

                                今井真実|叫びたくなる美味しさ! 高級クレープの衝撃

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                                今井真実|叫びたくなる美味しさ! 高級クレープの衝撃

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #54〈20歳で作曲したカデンツァを――バイエルン放送交響楽団・後篇〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  今年は嬉しいことに、ドイツの様々な地域での公演を控えている。ドイツと一言で言ってもいずれの都市も表情が異なり、それぞれに個性を持っていて面白い。  ここミュンヘンは空気が澄んでいてなんとも気持ちが良い。バイエルン州出身のマネージャー曰く、街を抜けたところにある牧場の香りが、時折風に乗って都心まで伝わってくるそうだ。私が住むベルリンと比較しても、多くの歴史的建造物がそのままの

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #54〈20歳で作曲したカデンツァを――バイエルン放送交響楽団・後篇〉

                                「泣かせるのが上手」「何度も読み返したくなる」書店員さんの声を紹介します!

                                発売二週間経たぬうちに三刷りが決まった『#ナースの卯月に視えるもの』。全国の書店員さんから感動の声が届いています! ▼読者の皆様からの感想も続々と!

                                「泣かせるのが上手」「何度も読み返したくなる」書店員さんの声を紹介します!

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #53〈ビシュコフが伝えた極意――バイエルン放送交響楽団〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  その劇薬を初めて手にしたのは5年前のことだった。持っているだけでカッコよく見える――そんな安直な理由がきっかけだった。小箱は愛煙家たちが集う大人の世界へのパスポートでもあり、亡き恩師・野島稔先生とお近づきになるための道しるべにもなってくれた。  野島先生のことを思い出せばいつも、煙を燻らせている姿が脳裏に浮かぶ。私は最初はピース、次は先生が愛用していたマルボロ・ゴールド、その

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #53〈ビシュコフが伝えた極意――バイエルン放送交響楽団〉

                                矢月秀作「桜虎の道」#007(最終回)

                                第6章1  春人は中目黒に来ていた。車で十分ほど南に行った場所でタクシーを停める。降りて、格子門の前に立つ。  玄関を見つめ、何度か逡巡したものの、インターホンを押した。  ——はい。  女性の声が聞こえてくる。 「春人です」  名を告げた。  春人が訪れたのは、義人のところではなく、池田の家だった。  孝蔵に言われ、一度は叔父の言うとおり、義人に電話をしようと思った。だが、どうしても父には連絡ができなかった。  プライドもある。畏怖もある。様々な感情が胸の内に渦巻き、混乱

                                矢月秀作「桜虎の道」#007(最終回)

                                陽の当たる世界から弾き出された青年のひたむきな姿が胸を打つ——逢崎遊『正しき地図の裏側より』インタビュー

                                 定時制高校に通いながら無職の父の代わりに働く耕一郎。ある晩、彼のもとに一本の電話が入る。相手は警察で、泥酔した父が交番で保護されたという。雪の降る夜道を最悪な気持ちで交番に向かう。この日、耕一郎がバイトで貯めた8万円がなくなっていたのだ。交番からの帰り道に問い質すと、父はあっさりと自分が使ったことを認めた。そのうえ、絶対に許すことのできない衝撃的なことまで口にした。怒りが爆発した耕一郎は力任せに父を蹴り倒し、拳を振るい続け——。  第36回小説すばる新人賞受賞作『正しき地

                                陽の当たる世界から弾き出された青年のひたむきな姿が胸を打つ——逢崎遊『正しき地図の裏側より』インタビュー