今井真実 第8回 瞑想は煮込み料理で――とろとろポトフのおいしい秘密
鍋のふたを開けると、濁りのない澄んだスープが出来ていた。かれこれ2時間ほど、ことことと煮込まれている。とろとろの牛スネ肉に菜箸を刺すと、なんのとっかかりもなくすっと入った。
まずまず。これは成功と言っていいだろう。味見をするために小皿によそい、そっとすする。ああ。なんて豊かな味だろう! 思わず「いいねいいね」と声が出る。食材の命が丁寧に抽出され、透明なスープに溶け込んでいる。
次に塊のまま煮込んでいた牛肉を取り出し、まな板に載せてスライスした。なんていい眺めなのだろう