ピアニスト・藤田真央 #06「ふたりの師の教え――音と、音楽と、向き合うこと」
毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」
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モーツァルトを集中的に演奏するようになってからというもの、わたしは歌曲、とりわけドイツ・リート(歌曲)への関心を強めています。
同じドイツ・リートでも、シューマンとシューベルトを比較するとまた面白いですね。シューマンの曲は、こちらを刺してくるような「痛み」がにじむ。クララへの恋慕といった、作曲家の想いがストレートに表現されています。わたしはそういった創り手の自意識が前面に出すぎているものには