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#エッセイ

【㊗発売即重版!】ピアニスト・藤田真央さん初著作『指先から旅をする』

 ピアニスト・藤田真央さんによるエッセイ&語り下ろし連載「指先から旅をする」がこのたび本になりました。 弱冠24歳にして「世界のMAO」に 2019年、20歳で世界3大ピアノコンクールのひとつ、チャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞。以降、世界のマエストロからラブコールを受け、数々の名門オーケストラとの共演を実現させてきた藤田さん。 現在はベルリンに拠点を移し、ヴェルビエ音楽祭、ルツェルン音楽祭といった欧州最高峰の舞台で観客を熱狂させています。 エッセイ&語り下ろし

自意識を素直に認めよう――日テレディレクター・安島隆の愛読書

 何の気なしにグッズのスタジャンを羽織って外出するほどには、余韻がぷんぷん残っている。約2ヶ月前の2024年2月18日に開催された「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」。ドームの5万3千人に、ライブビューイング、配信で見てくれたお客さんまで合わせると計16万人。ラジオモンスターならではのモンスター級エンタメは、ニッポン放送の人気ラジオ番組がもとになったイベント。僕は現在テレビ局の局員ですが、縁あって総合演出を務めました。こんな感じのテレビと関係のない仕事が多いので

ロングコートダディ・堂前透のお散歩エッセイ!「俺はシロガネーゼ。君は?」

俺はシロガネーゼ。君は?  お散歩が好きなんです私。大阪は散歩し尽くしてしまったのでこの度東京に引っ越してまいりました。今回はマダムたちがたくさん住むと言われている『白金』を散歩してみることに。  白金まではタクシーで行きました。足が疲れるからです。散歩するためにタクシーに乗るなんて馬鹿野郎だと思われるかもしれないですが、こちらは文句があるならかかってこいという所存です。  白金に到着しタクシーから降りた瞬間、もうすでに漂う上品感。これが白金か。タメ口で偉そうに喋ってき

手放される覚悟、そして手放す覚悟を――「あいの里」の60歳・みな姉が綴る人生哲学

 え、ちょっと待って……。そこには娘のような年齢の魅力的な女性たちの姿があった。聞けば30代ひとりと40代ふたり。わたしは60代だ。これ、どうしたらいいの。そもそも40代のふたりは到底40代に見えない若々しくかわいらしい人たちだし、30代の女性なんて20代に見える学生みたいな人。勝ち目、ないじゃん……。 「あいの里」の初日。  オーディションを通過し、収録が開始されるまで「きっと熟年紳士たちに愛されるわたしでいてみせるわ」と息巻いていた。しかし、そんな甘い幻想は、無残にも打

ハイツ友の会・清水香奈芽、初エッセイ!〈笑けるパターン〉

笑けるパターン 日々生きていると色んな感情になるかと思います。色んな感情にはなりますが、対人関係において外に出す機会が多いのはポジティブな感情です。ネガティブな感情を出し過ぎる人はややこしいと思われるからです。実際ややこしい気がします。だからといってポジティブこそ正義みたいな雰囲気を出されるとそれはそれでややこしいです。  それは無理やろみたいなこともポジティブに持っていこうとする人がいます。あれは私が小学1年生のときでした。登校して朝の会が行われている最中、クラスメイトの

「野暮でいこう」種村季弘が教えてくれたこと――ゲームさんぽ・いいだの愛読書

「ゲームさんぽ」というYouTubeの動画をご存じだろうか。さまざまな分野の専門家と一緒にゲームで遊びながら対話していく“教養系”の番組で、私は一連の動画の企画・制作をしている編集者だ。新卒の社会人としては美術の教科書編集者になったが、その後ウェブ記事の編集者を経て、動画の制作をするようになった。今回は私の愛読書ということで「編集者として持つべき基本姿勢を教えてくれた一冊」をご紹介したい。 編集者という肩書き  ところで、編集者というのは便利な肩書きだ。なんとなくのイメー

今井真実|願掛けは、辛くて痺れる明太子スパゲッティ

第3回 願掛けは、辛くて痺れる明太子スパゲッティ  窓から陽が差し込んでいる。強い光のせいで、ほこりが薄く舞っているのが見えてしまった。  ソファに寝そべり、部屋をぼんやり眺める。いいかげん掃除機をかけて、洗い終わっている洗濯ものを干さなくては。でも、もう少しだけ。あと10分、このままぼんやりと静けさを味わいたい。  ああ、やっと家にひとりきり。この日が来るまで本当に長かった。  今朝、久しぶりに子どもたちがふたり揃って元気に登校していった。  いつもぴょんぴょんと跳ねて

『淀川八景』(藤野恵美・著)の装画が完成するまで【テーマソングリスト付き!】

大阪生まれ・大阪育ちの小説家が 大阪人の悲喜こもごもを描いた短篇集『淀川八景』。 『別冊文藝春秋』からうまれた八本の作品が、このたび 美しい文庫になりました。 装画家・草野碧さんに、文庫装画の制作プロセスを 教えていただきました!  大阪弁でこう言われたら、なんだか肩の力がぬけて妙に納得させられてしまいます。  日々いろんな経験をしていると、うっかり自分だけが大変だと思いがちですが、「みんなそれぞれにドラマがあって頑張っているんだなぁ……」と、読み終わったとき、以前より少

【目次】おすすめラインナップ

ピックアップ短篇・中篇小説連載小説【連載完結】 【一部公開】 エッセイ・ルポルタージュなど【連載エッセイ】 【読みきり】 インタビュー・対談【インタビュー】 【対談】 レビュー【連載レビュー】 【書評】 イベント情報&レポートお知らせ

浅倉秋成|お茶が「りん」と鳴る

 佐賀県・嬉野温泉にある和多屋別荘で〈ライター・インレジデンス〉を体験中の作家 浅倉秋成さんが、現地での体験をもとに書き下ろされたエッセイをお届け!    11/3(木・祝)の浅倉さんの講座・生配信をご覧の方はぜひこちらもお読みください。 《配信の詳細はこちら》 *** 「香りを『聞く』んです」  はて、と宙を仰いだのはほんの一瞬で、気づけば妙な納得感に包まれていた。香りを「嗅ぐ」と表現してみるとどうだろう。一般的な表現であるには違いないが、これでは漂ってくる匂いをひ

【アーカイブ公開中】浅倉秋成さんがエッセイのセオリーを大公開! YouTubeライブでお届け

 佐賀県・嬉野温泉にある和多屋別荘で〈ライター・インレジデンス〉を体験中の作家 浅倉秋成さんが「エッセイ」のセオリーを伝授する講座「書くをはじめてみよう!」を開催します!  その模様を YouTubeライブでお届け(無料でご覧頂けます)。  11/3(木・祝)13:00~14:00、「通知オン」ボタンを押してお待ちください。 URL:https://youtu.be/lqp0MVwdFwg 《講座の詳細はこちら》 * 【お手本】浅倉さんが書き下ろされたエッセイ  レ

イナダシュンスケ│パクチーに潜む「マズ味」

第5回 パクチーのマズ味 皆さんはパクチーはお好きですか? 一般的に、好き嫌いが大きく分かれるとされる食材です。苦手な方も少なくないのではないでしょうか。  しかし10年くらい前は、今よりもっと苦手な人が多かったはずです。当時から飲食店をやっていた自分の感覚だと、お客さんの半分以上、いやむしろ大半が苦手だったんじゃないかと思います。  今は、少なくともそこからは大きく様変わりしました。「好き」と言い切る人は確実に増えました。もしかしたら若干の苦手意識は持ちつつ、ちょっと無理し

馬場典子│「先輩アナウンサー」への詫び状──『全力でアナウンサーしています。』を読んで

 大学3年の冬休み、祖母の家で就職活動のハガキを何通も書いていた私は、舌打ちをした。  バブルはとっくに弾けている1995年の暮れ、当時はまさか30年も続くことになるとは思わなかったが、景気は沈み、団塊ジュニアは就職氷河期に直面していた。  のちに、同じ大学でも男性にだけ資料が送られていたことを知った。今にして思えば、採る気もないのに資料を送ってくるより良心的とも言えなくはないのだが……。  でも、舌打ちをしたのはそんなご時世に対してではない。  見えない未来にペンダコよろ

第三信「追跡の手がかり」(文・池内さん)

 ご無沙汰しております。池内です。  先日私は、ダニエル・デフォーが『ロビンソン・クルーソー』に隠した暗号について、冒険的な解釈を述べました。しかし、前回お伝えした観測記録は、あくまでもデフォー自身の人生や当時の時代背景といった「物語の外側」にある要素から推測したものに過ぎません。そこから得られた「仮説」を検証するためには、作中で綴られた言葉それ自体との整合性について考えてみる必要があるはずです。  そこで今回は『ロビンソン・クルーソー』の作中、物語の内側にある断片から、私の