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透明ランナー|「岡山芸術交流2022」――歩いて回れる現代アートの都市型芸術祭

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 国際的な現代アートの芸術祭「岡山芸術交流2022」が、岡山市内各所で11月27日(日)まで開催されています。2016年に第1回、2019年に第2回が行われ、今年で3回目となります。13か国から28組のアーティストが参加しています。

 岡山芸術交流は歩いて回りやすい都市型の芸術祭であるのが特徴です。10ヶ所の会場が岡山市中心部に設けられ、各会場の距離は歩いて数分程度。コンパクトにまとまっています。使われる会場も、廃校になった小学校、岡山城、岡山後楽園、神社、百貨店などバラエティに富んでいます。

 もうひとつの特徴として、ハイブロウで解釈が難しい現代アートを妥協なく並べることが挙げられます。前回2019年の芸術祭では、マシュー・バーニーが銅メッキをする、エティエンヌ・シャンボーが文化センターに骨を撒く、リリー・レイノー=ドゥヴァールが身体を赤く塗って全裸で踊るなど、かなり難易度の高い作品が出品されていました。小学生の子供を連れた地元の来場者が多く、困惑した顔をしていたのが印象的でした。

 今回アーティスティックディレクターを務めるのは、私の大・大・大好きなタイ出身の現代アーティスト、リクリット・ティラヴァーニャ(1961-)。初期には世界各国で鑑賞者にタイ料理を振舞うというパフォーマンスを行い、“関係性”や“相互理解”といったテーマに長年取り組んできました。彼が選んだアーティストがどのような展示を披露してくれるのか期待が高まります。

 今回は副題として「Do we dream under the same sky(僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか)」というテーマが掲げられています。ティラヴァーニャは「同じ空を見てお互いの夢を理解するとはどのようなことなのか。みなさんが夢に対して、目と心を開けることを願っています」と語っています。岡山芸術交流2022はどのような夢を見せてくれるのでしょうか。

 岡山芸術交流と同時期に瀬戸内国際芸術祭2022秋会期が開催されています(11月6日(日)まで)。あわせて訪れてみてください。


岡山芸術交流2022

 岡山芸術交流の拠点となる会場が旧内山下小学校です。岡山後楽園のすぐ近くにあり、1887年に開校した伝統ある小学校ですが、少子化のため2001年に閉校しました。

 プレシャス・オコヨモン(1993-)の「太陽が私に気づくまで私の小さな尻尾に触れている」は、使われなくなったプールに巨大なクマのぬいぐるみが横たわっている作品です。一見かわいらしいですが、白いレースの下着をつけたクマは無抵抗で無防備な姿を世界に晒しています。

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