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日本未公開映画を観る11の方法――アカデミー賞授賞式を100倍楽しむために|透明ランナー

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 いよいよ日本時間2023年3月13日(月)、第95回アカデミー賞授賞式が開催されます。全世界の映画ファンが楽しみにしている年に一度の祭典、いやが上にもボルテージが高まってきているところです。

 最初はアカデミー賞の受賞予想記事でも書こうかな……と思っていたのですが、私の予想を見ても仕方ないですし、当たったところで何かあるわけでもありません。というわけでもっと読者の皆様に役立つ記事を書こうと思います。

 日本の映画ファンが毎年この時期に必ず思うこと、それは……「授賞式までにノミネート作品が観られない」!!

 たとえば今年の作品賞ノミネート10本のうち、『TAR/ター』と『ウーマン・トーキング 私たちの選択』の2本が未公開です[1]。主演女優賞はミシェル・ヨーとケイト・ブランシェットの一騎打ちと言われていますが、『TAR/ター』が未公開なので日本のファンにはどこが一騎打ちなのか分かりません。『ウーマン・トーキング 私たちの選択』[2]は『生きる LIVING』のカズオ・イシグロを押さえて脚色賞最有力と言われていますが、どちらも授賞式の時点ではまだ日本で公開されていません。本当なら事前に観た上で自分で予想してみたいところですよね。

 ですが! 日本未公開映画を観る方法は頑張ればいろいろあります! 映画ファンはさまざまな方法を駆使して日々多様な映画を観ています。

 というわけで! この記事では私が未公開映画を観るためにどんなことをしているか、その方法をご紹介したいと思います!


日本未公開映画を観る方法

 2023年2月、一本のnote記事が世に出ました。私の十年来の映画仲間であるKnights of Odessa[3]が執筆した「『死ぬまでに観たい映画1001本』を死ぬまでに全部観た! ~攻略マニュアル~」です[4]。この記事は映画クラスタを超えて大いにバズり、noteの「スキ」は300以上もついています。

 このnoteには日本未公開映画を鑑賞する方法についても詳しく載っていますが、自分なりの鑑賞方法を紹介していきたいと思います。

初級編

①映画祭

 まずはこれでしょう。東京国際映画祭と東京フィルメックスは日程が合う限り全部観ます。スケジュールとにらめっこしながらチケット争奪戦に参加する時間は映画ファンにとって至福のひとときです。

 レインボーリール東京、EUフィルムデーズ、ラテンビート映画祭、東京・中国映画週間、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭[5]などにも目を光らせ、少なくとも上映作品のリストは全てチェックします。イメージフォーラム・フェスティバルも重要です。

 映画祭は首都圏だけではありません。山形国際ドキュメンタリー映画祭、大阪アジアン映画祭、京都ヒストリカ国際映画祭[6]、なら国際映画祭、新千歳空港国際アニメーション映画祭[7]、福岡アジアフィルムフェスティバル……。いずれもここでしか観られない世界の未公開映画を上映しています。

 ちなみに私は2023年3月12日(日)、大阪アジアン映画祭を観るためだけに夜行バスで大阪に行く予定です。

②文化センター&大使館

 アテネ・フランセ文化センター[8]、アンスティチュ・フランセ(東京、横浜に加えて京都にもあります)、ゲーテ・インスティトゥート日本(ドイツ語圏)、インスティトゥト・セルバンテス東京(スペイン語圏)[9]といった文化センターでも思わぬ映画が上映されています。映画館ではないため、こういったイベントは映画好きのコミュニティのフィルターに引っかからないこともあるので要注意です。

 実は各国の大使館でも映画が上映されています。穴場かもしれませんがこれを逃す手はありません。私が映画を観たことのある大使館は韓国、ブラジル、カナダ、ロシアです。

 2018年10月にはロシアの未公開映画を上映する「ロシア映画祭」が開かれ、ビザ申請以外でロシア大使館に入れる貴重な機会となりました。

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