マガジンのカバー画像

WEB別冊文藝春秋【無料記事】

109
WEB別冊文藝春秋の無料で読める記事をまとめました。
運営しているクリエイター

#書評

宮島未奈|よみがえる京都の夏――万城目学『八月の御所グラウンド』に寄せて

*** 「万城目さんがおっしゃるには、京大生はみんな『御所G』を知っているそうです」  …

23

タカザワケンジ|白石一文の最新作『投身』が問いかける、本当に面白い小説とはなにか…

***  面白い小説とは何だろう。白石一文の小説を読むたび浮かぶのはそんな素朴な疑問だ。…

10

大島真寿美|高見沢俊彦、恐るべし! 絶妙なセンスがクセになる幸せな小説――髙見澤…

***  タイトルからして、あやしい。  「特撮家族」。  なんなんだ、特撮家族って。特撮…

本田由紀|沈滞する日本社会に活路はある? 希望を抱かせてくれる力強いメッセージ―…

***  先日、ある経営学者のお話をうかがう機会があった。現在の日本企業では総じて「イノ…

辻村深月|父と娘という新たな光を得て、彼女たち「娘」の作品や言葉が再び広く知られ…

***  本書に登場する「娘」の一人である詩人・石垣りんのこんな文章が、彼女の章の冒頭で…

円居挽|『煉獄の時』は笠井潔がその才を注ぎ込んだ芸術作品にして大傑作である

 最初に断っておくと私は笠井潔氏の、ひいては矢吹駆シリーズの決して良い読者ではない。それ…

吉田大助│これは「アンファン・テリブル(恐るべき子どもたち)」の系譜を発展的に受け継いだミステリーなのだ

「宿命論的な人生観」を回避するためには 短いプロローグで記されるのは、「僕」が親子間のDNA鑑定の結果を今まさに目にしようとする瞬間だ。切り取られたクライマックス・シーンの一部には、こんなモノローグが書き込まれている。 〈才能とは遺伝子で決まるのか、それとも環境で決まるのか〉。正直なところ、この一文を目にした時に抱いたのは不安だった。どちらか、ではなく、どちらも、では何故いけないのか? もしもどちらかを決めるような物語であったら……という不安を推進力の一つにしながら読み進め

木村朗子│フェミニズムをアップデートする

 清水晶子さんの待望のフェミニズム本だ。研究者であれば学術論文を書くのが本領だろうが、し…

馬場典子│「先輩アナウンサー」への詫び状──『全力でアナウンサーしています。』を…

 大学3年の冬休み、祖母の家で就職活動のハガキを何通も書いていた私は、舌打ちをした。  バ…