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#別冊インタビュー

【㊗発売即重版!】ピアニスト・藤田真央さん初著作『指先から旅をする』

 ピアニスト・藤田真央さんによるエッセイ&語り下ろし連載「指先から旅をする」がこのたび本になりました。 弱冠24歳にして「世界のMAO」に 2019年、20歳で世界3大ピアノコンクールのひとつ、チャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞。以降、世界のマエストロからラブコールを受け、数々の名門オーケストラとの共演を実現させてきた藤田さん。 現在はベルリンに拠点を移し、ヴェルビエ音楽祭、ルツェルン音楽祭といった欧州最高峰の舞台で観客を熱狂させています。 エッセイ&語り下ろし

高瀬隼子×大前粟生「怖くてあたたかい小説の世界」|『め生える』『チワワ・シンドローム』を語りつくす初対談!

 大前粟生さんの『チワワ・シンドローム』を読んだ高瀬隼子さんの第一声は「待って、こわいこわいこわい」。対等なはずの友人関係に潜む「支配」を鋭く描き出した作品です。  私たちを取り巻くそのような「怖さ」を絶妙に掬い取って小説にするお二人の創作の秘密に迫ります。(司会進行=U-NEXT・寺谷栄人/撮影=松本輝一) ——お二人はちゃんとお話しされるのははじめてなんですよね。高瀬さんは愛媛から大学進学で京都に出られて、大前さんは兵庫から京都に出られて、大学時代を京都で過ごされたとい

佐野徹夜さんが辿り着いた、自分にとっての『人間失格』——『透明になれなかった僕たちのために』インタビュー

 中学時代に双子の弟・ユリオを自殺で失った大学生の樋渡アリオは、「人を殺したい欲望」を隠しながら、日々を空虚に生きていた。しかし、かつての初恋相手である深雪と再会を果たし、また容姿端麗な蒼、アリオと瓜二つの市堰とも出会うことでアリオの生活は変わり始める。  それと並行して、SNSでは現実に起きた殺人事件の〝真犯人〟だと自称するアカウント「ジョーカー」が話題になりはじめていた。そしてジョーカーが殺害の証拠としてアップロードしていた写真、そこに写っていたのは、見覚えのあるマーク

自分がどんどんワトソンと一体化して――スランプに抗い、最後に解き明かした謎とは? 森見登美彦ロングインタビュー

作家の書き出し Vol.29 〈取材・構成:瀧井朝世〉 ◆あのシャーロック・ホームズがスランプに――『シャーロック・ホームズの凱旋』、書籍化をお待ちしておりました。これはあの名探偵ホームズが、「ヴィクトリア朝京都」にいるというお話です。文芸誌『小説BOC』に連載していたものですよね。 森見 2016年に連載がスタートしたので、刊行まで7年かかったことになりますね。最初に「ヴィクトリア朝京都」という言葉を思いつき、面白くできそうだと。そこから、ヴィクトリア朝ならシャーロック

古代エジプトの密室トリックにミイラが挑む!|『このミス』大賞受賞作・白川尚史『ファラオの密室』インタビュー

「経営者としての日々を送るなかで、心のどこかにいつも〝作家への憧れ〟がありました」  スーツに身を包んだ白川尚史さんは、そう穏やかに語り始めた。東京・赤坂の高層ビル25階に位置した、近未来を思わせるガラス張りの会議室。「GALAXY」と名付けられたこの空間は、証券ビジネスを展開するマネックスグループの本社オフィスだ。白川さんは東京大学工学部を卒業後、AIベンチャー「AppReSearch(現在は「PKSHA Technology」)」を東大の先輩と共に創業し、代表取締役に就任

私は私の身体で生きていく――西加奈子が紡ぐ〝女であること〟から解放される8つの物語

作家の書き出し Vol.28 〈取材・構成:瀧井朝世〉 ◆フィクションでしか知ることが出来ない場所もある——5年ぶりの短篇小説集『わたしに会いたい』は、2019年から22年にかけて発表された7篇と書き下ろし1篇を収録していますね。文芸誌『すばる』(集英社)に掲載された短篇が多いですが、純文学系の雑誌に短篇を書くきっかけって、なにかあったのですか。 西 『おまじない』という短篇集を出した後に、『すばる』の編集の方が感想をくださったんです。私が意図していなかったところまで深く

人気ホラー系YouTuberが放つ“一度読んだら忘れられない”完全犯罪小説|やがみ『僕の殺人計画』インタビュー

 ミステリー小説を愛する敏腕編集者・立花のもとに、ある日、送り主不明の原稿が届く。どうやら小説であるらしいその原稿は次のように始まる。「このときがようやく来た。/僕はあなたを殺します。/決して誰にもバレずに。」——これは小説なのか? それとも立花に宛てられた殺人予告なのか?  YouTubeチャンネル登録者数75万人超えを誇る人気ホラークリエイターのやがみさんが11月に刊行した初の小説『僕の殺人計画』は、「究極の完全犯罪」をテーマに、編集者と「謎の殺人予告小説」の書き手の頭脳

『八秒で跳べ』刊行決定!――『探偵はぼっちじゃない』から5年、大学生になった坪田侑也さんにインタビュー

――デビュー作『探偵はぼっちじゃない』の文庫の解説で、第2作を「信じて待ちたい」と書いてから、ずっと新作を待っていました。本当にお久しぶりですが、この5年間は何をされていたのでしょうか。 坪田 受賞作の単行本が出たのが高校1年生の終わりで、当時の目標は、1年に一冊ずつ書き上げるということで、準備もすぐにしていました。ただ、なかなか思うようなものが書けないうちに、目標が「高校生のうちに一冊仕上げる」を目指そうとなって、それも高校3年生後半になると、大学進学に向けた勉強に専念し

革命への道のりにあなたを誘う”嘘偽りのない”ファンタジー|多崎礼『レ―エンデ国物語』インタビュー

 伝説の騎士団長を父に持つ、お人形のように美しいお嬢様。彼女を守り抜くのは、孤高の射手——設定だけ聞けば、甘やかな「おとぎ話」に映るだろうか。だが彼らが身を投じるのは、策謀と裏切りが渦巻き、熱い血がしたたる生々しい「戦いの歴史」だ。 『レーエンデ国物語』は全5巻にわたって〝国の興り〟を描く壮大なクロニクル。今年6月に1巻が、8月にはさっそく2巻『レーエンデ国物語 月と太陽』が発売された。 「こんなに長くて暗くて重たい話、誰も求めていないんじゃないかと心配で。初版部数を聞いて、

鬱屈を抱えた全ての人へ――ラランド・ニシダの初小説!|『不器用で』インタビュー

 匂いや情景が一気に立ちのぼる、印象的な比喩表現から始まる本作は、お笑いコンビ「ラランド」のニシダさんによる初小説。器用に生きられず、生きづらさを抱える人々の姿を繊細な観察眼で描いた短篇集だ。  もともと無類の読書好きで、年に百冊近く読破するというニシダさん。とはいえ、お笑いのネタはもっぱら相方のサーヤが書くし、依頼を受けるまで、自ら小説を書いてみようと思ったことはなかったという。 「本が好きで読んでいても、まさか自分で書いてみようとは思いませんからね(笑)。お笑いサークルの

世の中に〝リカバリー〟をもたらす小説を――青山美智子が描いたあたたかな5つの物語

作家の書き出し Vol.27 〈インタビュー・構成:瀧井朝世〉 ◆ほのかな光を集めたお話——新刊『リカバリー・カバヒコ』は、とある町の新築分譲マンションに住む、悩みを抱えた人々と、公園のカバのアニマルライドをめぐる連作短篇集。読者の背中をそっと押してくれる青山さんらしい作品ですが、出発点はどこにあったのですか。 青山 連載のお話をいただいたのが三年半くらい前で、ちょうどコロナ禍のさなかだったんです。社会全体がピリピリしていて、編集者さんと打ち合わせをしたカフェでも、テーブ

鬼才・小田雅久仁が産み落とした7つの悪夢|『禍』インタビュー

 2009年に『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビューを果たした小田雅久仁さんは、21年、実に9年ぶりとなる新刊『残月記』を刊行。同作は、第43回吉川英治文学新人賞と第43回日本SF大賞を射止めたのみならず、2022年本屋大賞で第7位となり、大きな話題を呼んだ。  それから二年弱。最新作『禍』は、緊張感のある文体で読者を〝心地よい不快感〟に誘い込む怪奇小説だ。11年に発表された「耳もぐり」のほか、『小説新潮』に掲載された短篇7作が収録されてい

万城目学はなぜ16年ぶりに京都を書いたのか——『八月の御所グラウンド』ロングインタビュー

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6/3(土)TBS系列「王様のブランチ」に登場! 『愛されてんだと自覚しな』――著者・河野裕さんロングインタビュー

作家の書き出し Vol.25 〈インタビュー・構成:瀧井朝世〉 ▼書店員さんからのご感想はこちら ◆千年分の記憶をもって、今世を生きる——新作『愛されてんだと自覚しな』、もう本当に胸がときめくお話でした。あまりに面白くて、思わず二回読みました。 河野 ああ、よかったです。物語全体に大きな「仕掛け」を用意したこの作品を、どう楽しんでいただけるかなとドキドキしていたので、そう仰っていただけてほっとしました。 ——初読と再読ではぜんぜん読み心地が違うんですが、どちらも最高に