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透明ランナーのアート&シネマレビュー

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2022年7月の記事一覧

透明ランナー|『戦争と女の顔』――私たちの戦争は終わらない

透明ランナー|『戦争と女の顔』――私たちの戦争は終わらない

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
 この映画を紹介できること、それは私にとって何よりの喜びです。初めて本作を観たのは2019年。私はあまりの素晴らしさに言葉を失い、「こんなにすごい映画がある!」「絶対日本でも公開されるべき!」と周囲に言い続けてきましたが、2022年7月15日(金)ついに劇場公開されることとなりました。
 何も言わずにとにかく観てほしい。その一言に尽きます。

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透明ランナー|「ルートヴィヒ美術館」展――ドイツ表現主義から現代美術まで、“市民が創った”豪華なコレクション

透明ランナー|「ルートヴィヒ美術館」展――ドイツ表現主義から現代美術まで、“市民が創った”豪華なコレクション

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
 あれは2010年10月のこと。東西ドイツ統一20周年を記念して各地で行われる式典にあわせて私はジャーマンレイルパスでドイツ全土を旅行していました。フランクフルトからハンブルクに向かう途中ケルン中央駅で3時間の乗換時間があり、駅から目と鼻の先にある美術館に寄る計画を立てていました。コレクションや美術館の歴史などを調べてウキウキでその日を待っ

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透明ランナー│『わたしは最悪。』――何者にもなれずもがく30歳のリアル

透明ランナー│『わたしは最悪。』――何者にもなれずもがく30歳のリアル

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
 7月1日(金)に公開されるやいなや大きな話題を呼び、平日でも多くの回で満席となってミニシアターを沸かせている映画があります。ノルウェーからやってきた『わたしは最悪。』(2021年、ヨアキム・トリアー監督)です。

 主人公は30歳の女性ユリヤ。医学部で学んでいたものの突然心理学、そして写真家へと転向しますが、節目の年齢を迎えてもまだ自分の

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透明ランナー|「アレック・ソス Gathered Leaves」展――“アメリカが誇る最も完璧な写真家”の魅力に迫る

透明ランナー|「アレック・ソス Gathered Leaves」展――“アメリカが誇る最も完璧な写真家”の魅力に迫る

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
 マリンスポーツが盛んで御用邸があることでも知られる風光明媚な神奈川県三浦郡葉山町。JR逗子駅から相模湾に沿ってバスで20分ほど走ると見えてくるのが「神奈川県立近代美術館 葉山」です。美術館の裏手は夏には海の家が立ち並ぶ海水浴場となっており、入口に「水着でのご入館はご遠慮ください。砂を落としてからご入館ください」と注意書きがあるほど海が間近

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