ピアニスト・藤田真央 #08「ベルリンの空の下、師を想う」
毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」
★今後の更新予定★
#09 8月25日(木)正午
#10 9月5日(月)正午
4月末に日本を発って拠点をベルリンに移し、新しい生活が始まりました。
ベルリンは何度も訪れておりましたし、もともと勝手知ったる街ではあるのですが、ひとり暮らしをするのは初めてなので、毎日小さな発見があって楽しい日々です。
アパートメントは学校から少し離れたところに位置しているのですが、静かで素敵なところです。引っ越してきた日には、隣りのご夫婦が、パンとお塩を持ってやって来てくださいました。新しく入居した人にはこのセットをあげるというのが、この地域の慣習なのだそうです。お部屋自体もとても居心地がよく、広々として高い天井も、照明やドアノブの細工も美しく、見ていて飽きません。
食事は極力、自炊するようにしています。得意料理というほどのものはないのですが、シンプルなものを毎日あれこれ工夫しながらつくっています。
ベルリンにはいろんな国から音楽家が集っていて、旧知の友人も多いんです。仲間たちがよく遊びに来てくれるので、毎日賑やかですね。
先日は、チェロの佐藤晴真くんとふたりで、唐揚げをたくさん揚げてパーティをしました。晴真くんが夏に日本に帰ってしまう前に、今度は生姜焼き晩餐会もしようねと話しています。
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