東洋哲学に人生を変えられた男の〝読書ルール〟|『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』しんめいPの愛読書
「ぼくのこと誰も知らないですよね?」
「知らんひとが、知らん本を紹介して、誰が読むんでしょうか……?」
と、編集者さんにお伝えしたんですが。
ほんとに誰が読んでくださってるんでしょうか。
ありがとうございます。
好きな本。
「やっぱ太宰ですかね。」
「ベタかもしれませんが三島由紀夫です。」
と、イキりたいところですが、語れないので、やめました。
自分の心に正直になって、「好きな本」を考えてみる。
のですが。
結論、「とくにねぇ」でした。
本、読み返さないので、愛読書にならない。
内容も覚えてないし。
この原稿どうしよう……。
ということで、編集者さんと相談して、ちがう切り口にしました。
地味に、自分なりの「本選びのルール」があるので、語ってみます。
知らん人のマイルールなんて、誰得の情報か不安ですが。
ほんとにすいません。
ルール:
「この本、だれが読むねん」と思った本は、絶対買う
いつからか忘れたけど、このルールに従っていきてます。
本屋ってすごいですよね。
すんごい数のジャンルの、すんごい数の本がある。
本屋は宇宙。
そして、ひとりの人が興味があるジャンルの数って、たかがしれている。
本屋の宇宙のなかの、1%くらい。
だから、自分が興味のあるエリア以外、99%の本は、
「この本だれが読むねん」枠に入るわけですね。
でも、そんな中で「目がとまってしまう」本ってあると思うんです。
「目がとまってしまう」ということは、緊急事態です。
「こんな本を好きだと認めてしまったら、自分は終わりだ」
という、いわば「自分」という器のギリギリをせめてくる本。
それが「この本だれが読むねん」と思った本です。
そう思ったら、「買う」がルールです。
では、このルールにのっとって、
ぼくが「買ってしまった」本を3冊紹介してみます。
(こんな紹介のしかたで著者・関係者の方に申し訳ないですが……)
1.女の不幸人生 vol.56(まんがグリム童話 2020年7月号増刊)
「この本、だれが読むねん」
と、声がでたので、買いました。
家の近くのローソンで。
Amazonから紹介文を引用します。
「闇を抱えた病み女が大集合!!」じゃねぇよ。
いわゆる「レディコミ」というジャンルになるんでしょうか。
謎ルールがなければ、一生手にとることがなかった本です。
でも「気になっちゃった」んですよね。
つまり「認めたくないけど、興味がある」ということです。
「他人の不幸をたのしみてぇ」
「誰かの人生をめちゃくちゃにしてやりてぇ」
とか。
「進歩的な」「令和の人間」のフリをしてる自分にも、
そんな黒い感情があるということです。しゃーない!
じっさい読んでみて、そんなに心がザワついたわけでもなかったですが。
この買い物は印象にのこってますね。
2.祝・ご就職記念 愛子さまの日々
うおおおお!?
ほんとに買っちゃうのか!?
おれが!?
と思いながら購入。
たしか京都の大垣書店さんで。
自分の本の発売日に、「本屋に置いてるとこみにいくで〜!」とワクワクしながら書店に入ったら、普通に置いてなかった。凹みました。
ガッカリして書店を去ろうとしたときに、こちらに手をふっていらっしゃる愛子内親王のお姿が。
この本の表紙でした。
Amazonから紹介文を引用します。
祝福に満ちたご誕生…!
健やかなご成長…!
小さい頃、おばあちゃんの家で、「皇室アルバム」というテレビ番組が流れていました。
皇室の様子が、独特のもったりとした空気感で流れていました。
刺激的な戦闘シーンがウリのロボットアニメ好きだった僕には、「皇室アルバム」が番組として成立していることが謎でした。
皇室は、僕としては、別世界の存在くらいに思っていたわけです。
王室ですが、タイのプミポン国王が2016年に崩御されたときも、「王様がいるってどんな気持ちなんやろ」と素朴に思っていました。
そんな自分が、愛子さまのフォトブックをゲットするとは。
手に取るときは、率直にいってしまうと、葛藤があったわけです。
店員さんに
「このひとめちゃくちゃ皇室好きなんかな」
「ちょっとした右翼なのかな」
とおもわれるか、正直にいうと、心配でした。
手に汗握りながらレジを通しました。
しかしですね、ページをめくってみると、「敬慕」のきもちが湧いてくる自分に気づいてしまったのです。
なんなんですかね、この気持ちは。
子どものときとくらべて、大人になった自分は、いろいろ不安があるから、よりどころを求めてるんだろうか?
小学校では「君が代」はあまり歌ってはいけない歌だ、という空気感もあるなかで育ってきたので、いろいろな感情がぶつかります。
そんな感じでした。
個人的には、「認めたくない自分との出会い」が読書の一番おもしろいところかな、とおもっています。
3.龍樹
南インド、大乗仏教の高僧、「龍樹」についての本です。
渋すぎる。
ぼくは大学に入るまで全然本を読まなくて、
国語ででてくる論説文なんて「だれが読むねん」と友達とケラケラ笑っていたことを思い出します。
そんなぼくが大学に入って、どこかの書店でみつけたんですね。
『龍樹』を。
渋すぎる。
「この本、だれが読むねん」
と思ったことが、しっかり記憶にあります。
買っただけで読まずに、実家送りになりました。
それから13年。
無職になり、離婚して実家ににげかえってふとんにくるまっていた時に、
この『龍樹』本とまさかの再会をはたします(!)
大人になってから読むと、沁みました。
面白かったので、note をかきました。
で、出版社さんから連絡がきて、本になってしまいました。
100ページぐらい、「龍樹」について書いてます。
一番重要な参考文献のひとつになりました。
結果的に、人生を変えた本になりました。
こんなことあるんですね。
買ってよかった〜
「この本、だれが読むねん」と思った本は、絶対買う
よかったら試してみてください!
そもそもこの記事こそ、「だれが読むねん」感がありますが、読んでくださってありがとうございました!
「#別冊文藝春秋」まで、作品の感想・ご質問をお待ちしております!