「合田佐和子」展――美術の“正史”に挑んだ稀代の表現者の「眼」|透明ランナー
こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
私はずっとこの展覧会を楽しみにしていました。今回紹介するのは「合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない」(三鷹市美術ギャラリー)。合田佐和子(ごうだ さわこ、1940-2016)の没後初にして過去最大規模となる個展です。
本展は合田の初期から晩年までの作品が網羅的に紹介される、非常に充実した展覧会です。彼女は1965年の個展デビュー後、初期はシュルレアリスティックな立体オブジェを制作していました。
1970年代頃、ニューヨークで拾った銀盤写真を絵画に変換してみようと思いたち、見よう見まねで独学で油彩を描き始めます。また唐十郎(から じゅうろう、1940-)や寺山修司(てらやま しゅうじ、1935-1983)らと知り合い、演劇の舞台美術や映画のポスター原画を手掛けるようになりました。
1980年代のエジプト移住を経て、1990年代以降は一転してまばゆい光が満ち溢れるパステル調の絵画へと変化していきます。
私の中の合田のイメージはもっぱら1990年代以降のパステルカラーの油彩作品でした。しかしこの展覧会でその印象は根本から覆されました。
初期から一貫してメインカルチャーに対抗し、怪奇的なモチーフの立体作品を手掛けつつ、唐十郎らのアンダーグラウンドシーンに接近していきます。独学で油彩を描き始め、メディアで取りあげられるようになってからも自身の信じる作品を作り続けていきました。
合田佐和子とケネス・アンガー
日本時間2023年3月13日(月)、第95回アカデミー賞授賞式が開催されました。
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