「恵比寿映像祭2023」――映像表現の拡張可能性を問い続けるフェスティバル|透明ランナー
私は毎年個人的に「美術展ベスト10」を作っていますが、普通に挙げると必ずランクインしてしまうので“殿堂入り”にしている展覧会があります。そのくらい大好きなのが「恵比寿映像祭」です。
「恵比寿映像祭」は2009年の第1回以来、毎年東京都写真美術館を中心に開催されている映像の祭典です。2023年で15回目を迎えます。展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、トーク・セッションなど複数のイベントが行われ、常に映像表現の拡張可能性を問い続けています。美術館を飛び出し、恵比寿地区の複数の会場(恵比寿ガーデンプレイスや日仏会館など)で関連イベントがいくつも行われるのも特徴です。ここでしか上映されない実験映画、「これがアート?」と思えるような映像……いつもいつも刺激を与えてくれます。
こんなに楽しい恵比寿映像祭、それにしてもどうして毎年約2週間しかないのでしょう! 短すぎる! 5回くらい行きたい!
「恵比寿映像祭2023」の開催期間は2月3日(金)~2月19日(日)。どうしても予定が合わず最終日にギリギリ滑り込みました。この記事が公開されるときには残念ながらもう終わっています。本連載はこれまで展覧会の会期中に間に合うよう頑張って書いてきました……が、どうしても恵比寿映像祭の話がしたいので書きます! そして今回は(今回も)注釈が本番みたいな記事です! 最後までお楽しみください!(会場写真は透明ランナー撮影)
ルー・ヤン
きたー!! ルー・ヤン(1984-)だー!!
「恵比寿映像祭2023」で上映された映像作品「DOKU the Self」(2022)、本人のVimeoアカウントで全編アップロードされています。どうか! ぜひ! まずは最初の1分だけでも観てください! これがルー・ヤンワールド!
ルー・ヤン(上海生まれ、同地在住[1])は、日本のマンガ、アニメ、ポップカルチャーに強い影響を受け、3Dモデリングやモーション・キャプチャーを駆使した強烈な映像を生み出し続けています。
映像作品「DOKU」シリーズに登場するバーチャルキャラクター「DOKU」[2]は、ルー・ヤン本人を3Dスキャンで忠実に再現しながら、性別を持たず、時空を超えた理想化された存在として仮想空間上に浮遊しています。
ルー・ヤンがInstagramのアイコンにしているのが『ポプテピピック』です。
『美術手帖』2018年10月号でルー・ヤンへのロングインタビューが掲載されましたが、その扉写真は『ポプテピピック』のクッションを膝に抱えて両手の中指を立てているというものでした。『美術手帖』の長い歴史の中でも両手の中指を立ててインタビューに答えたアーティストは彼女くらいでしょう[3]。
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