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『テート美術館展 光 ―ターナー、印象派から現代へ』――光を描く、光で描く|透明ランナー

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 国立新美術館で2023年7月12日(水)から絶賛開催中の「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」。英国・テート美術館[1]の所蔵品から、“光”をテーマとした作品約120点が出品されています。

 開幕から2ヶ月経った9月15日(金)には入場者数が20万人を突破しました。この大人気を受け、最終週の9月25日(月)から10月1日(日)まで、開館時間が20時(通常18時)まで延長されることとなりました。夜は空いているのでおすすめです。東京・国立新美術館の会期は10月2日(月)まで。10月26日(木)から大阪中之島美術館に巡回します。

 東京会場の会期も終盤になり、この記事に目を留めるような方の多くはすでにご覧になっていることと思います。でもやっぱりこれだけは書きたい! ターナーもバーン=ジョーンズもいいけれどやっぱりこれは書いておきたい! というわけで皆さんがスルーしていたであろう作品について書きます!(撮影はクレジットのあるものを除き透明ランナー)


“光”とテート美術館

 会場を入ってまず最初の部屋(Room1)で出迎えてくれるのが、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)の作品です[2]。国内でなかなか見ることができないターナーの油彩が4点来ています(実はいま八王子の東京富士美術館でもターナーの油彩が展示されています)。2013年にテート美術館から110点も来日したターナー展(東京都美術館)を思い出します。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー「光と色彩(ゲーテの理論)ー大洪水の翌朝ー創世記を書くモーセ」(1843年出品)

 ロマン主義の先駆けとなり、18世紀後半から19世紀初頭にかけての英国を代表するウィリアム・ブレイク(1757-1827)も並んでいます。

ウィリアム・ブレイク「アダムを裁く神」(1795)
ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー「トスカーナの海岸の灯台と月光」(1789年出品?)

 そしてやっぱり英国といえばこの人たち、ラファエル前派です。Room2にはエドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ(1833-1898)やジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896)が! 日本でも非常に人気のあるラファエル前派は展覧会のたびに多くの人でにぎわいますが、バーン=ジョーンズの代表作のひとつが来日するのは嬉しいです。ミレイの晩年の作品はミレイっぽくないですが、ラファエル前派のスタイルから離れてスコットランドの光をやわらかく表現したこんな作品もあるんだと知ることができます。

エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ「愛と巡礼者」(1896-1897)
ジョン・エヴァレット・ミレイ「露に濡れたハリエニシダ」(1889-1890)

 モネやシスレーやピサロはいつでも見られるので次のRoom3に行くと、なんとびっくりヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916)がそっとたたずんでいました。

ヴィルヘルム・ハマスホイ「室内」(1899)
ヴィルヘルム・ハマスホイ「室内、床に映る陽光」(1906)

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