門井慶喜「天下の値段 享保のデリバティブ」#003
第2章(承前) 全体に、堂島の米市場は、まず2種類の建物がある。
ひとつは米会所である。市場全体を統括する本部のようなもの。具体的には米仲買の監督、紛争の裁定、相場情報の記録と公開などをおこなう。
もうひとつの建物は消合場で、これは清算所である。主として帳合米(先物取引)の清算をおこなう。
米会所と消合場は、ならんで道の北側にある。川とは反対の方角である。逆にいえば道そのものには何もないので、この空間が、つまりは無数の取引の生まれる現場というわけだった。
淀屋橋時代に