イナダシュンスケ|ホルモン奉行、卒業。
第8回 ホルモン奉行、卒業。
人が何かを好きになる時。それは、気が付けば自然とそれを好きになっているだけではなく、好きになりたいと思ったものを好きになる、そんなことが結構あるのではないかと思っています。
僕は20代の頃、焼肉屋のいわゆる「ホルモン」を、好きになりたいと思っていました。そしてそれを実際に好きになっていたと思います。
当時「食通」の人々は、こんなことをよく言っていました。
「焼肉は、結局『ホルモン』に行き着くんだよ」
その世界観においてカルビやロー