対等を求めてもがき、傷つけないようにと願う――いま共感を集める恋愛小説『きみだからさびしい』に込めた思い
作家の書き出し Vol.18
〈インタビュー・構成:瀧井朝世〉
いまの時代に「恋愛」を描く意味——新作『きみだからさびしい』、非常に興味深く拝読しました。コロナ禍の京都を舞台に、さまざまな恋愛模様と、そこから生まれる葛藤が描かれます。物語の出発点はどこにあったのですか。
大前 コロナが蔓延し始めたころ、2020年の春に長篇で恋愛小説を書いてほしいという依頼をいただいて、編集者さんと二人で話し合いながら作品づくりを進めました。
恋愛のキラキラした面よりも、そこから派生して