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2022年11月の記事一覧

「映画の日」に観たい! 『スタッフロール』の深緑野分がおすすめする、SFX・VFX映画オールタイム・ベスト5

 12月1日は「映画の日」です。この「映画の日」は、100年以上前、明治時代に日本で初めて映画(キネトスコープ)が一般公開されたことを記念して制定されました。  長い歴史の中で日進月歩の進化を遂げている映画産業ですが、その中で特に、視覚効果・特殊効果に焦点を当て、小説『スタッフロール』を紡いだのが、深緑野分さんです。映画を愛し、視覚効果・特殊効果という映画の〝魔法〟に人生を賭した女性クリエイター2人の奮闘を描いた本作は、直木賞候補作になるなど話題になりました。  そんな深緑さ

ピアニスト・藤田真央#15「そのアクセントが、演奏を進化させる――ブラームス《ピアノ協奏曲 第2番》」

毎月2回語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」  めくるめくような欧州の音楽祭シーズンを終えて、秋には久しぶりに日本に帰ってまいりました。  10月7日(金)はわたしのワールドデビューの日。レコーディングから約1年、ようやく皆さまのもとへ『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』をお届けできたこと、嬉しい限りです。  同日夜には「報道ステーション」でモーツァルトの《ピアノ・ソナタ 第9番 ニ長調 K.311》を生放送で弾きました。     そのほかにも記者会見に登壇したり

12月刊「文春文庫」見本到着!! プレゼントご希望の方、ご応募お待ちしております

 2022年12月6日(火)、文春文庫の最新ラインナップが刊行されます。  そのラインナップ全13作の「見本」が、ひと足お先に編集部にずらり!  印刷所から届いたばかりのこちらを抽選で各1名様に、いち早くお届けします! 12月のラインナップ『妖の掟』(誉田哲也・著) 『本意に非ず』(上田秀人・著) 『白い闇の獣』(伊岡瞬・著) 『巡礼の家』(天童荒太・著) 『介錯人 新・秋山久蔵御用控(十五)』(藤井邦夫・著) 『東京オリンピックの幻想 十津川警部シリーズ』(西村京太郎・著

世界最大級の現代写真の祭典「Paris Photo」&「Photo Days」 花の都パリから撮り下ろしレポート!|透明ランナー

▼ 透明ランナーによるイベントはこちら ◎ 【11/30までアーカイブ動画公開中】 ローカル芸術祭・徹底ガイド|透明ランナー ◎ ドラフト2022 最速レビュー!by透明ランナー  前回の記事「ヴェネチア・ビエンナーレ――世界最高峰の現代アートが集う2年に1度の祭典」に続き、今回も海外からお届けします。  本連載「透明ランナーのアート&シネマレビュー」でよく写真や映像を取り上げている私にとって、いつか絶対に行ってみたいと思っていた場所があります。それが「Paris Pho

透明ランナー|ヴェネチア・ビエンナーレ――世界最高峰の現代アートが集う2年に1度の祭典

▼ 透明ランナーによるイベントはこちら ◎ 【11/30までアーカイブ動画公開中】 ローカル芸術祭・徹底ガイド|透明ランナー ◎ ドラフト2022 最速レビュー!by透明ランナー  こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。  2022年6月から約半年にわたって続けている本連載「透明ランナーのアート&シネマレビュー」ですが、今回は初めて海外からお届けします。昔からずっと行きたいと思っていた場所についに行くことができました。世界で最も長い歴史を誇る国際美術展、「

二宮敦人「サマーレスキュー ポリゴンを駆け抜けろ!」#010

危険を逃れ、祖父母の家へと逃げ込んだ千香。 祖父と一緒に遊んだオンラインゲーム「おひさま王国」にログインすると、そこには謎のプレイヤーの姿が……  その時だった。突然、チャット画面が表示された。 〈千香だね〉  ぎょっとした。  人がいるとは思わなかった。送り主のプレイヤー名を見ると、「5khRLKpwOE8GfKXH」と表示されている。 〈会えて良かったよ。どこにいる? ちょっと探すね〉  誰?  気味が悪い。千香は、椅子に座ったまま凍り付いていた。中庭に繫がる城の扉がカ

二宮敦人「サマーレスキュー ポリゴンを駆け抜けろ!」#009

行方不明になった幼馴染を捜すため、 オンラインゲーム「ランドクラフト」にログインした千香。 そう、私は「ランドクラフト」が大好きだったんだ―― 千香の胸に、忘れられないあの日の記憶が蘇った。 第五章「お母さん、また入院することになったの」  夏休みに入る直前のことだ。両親が居間で話す声が聞こえてきた。 「そっか。このところ入退院の繰り返しだね。どれくらいの期間?」 「病状を見ながらだけど、予定では二週間。また家に戻れるとしても、もしかしたらハイサンソが必要になるかもって」

櫻木みわ|湖をわたって

 大型冷蔵庫、最新のドラム式洗濯機、本棚にフロアランプにワーキングデスク。プロフェッショナルの運び屋たちが、梱包された家具や家電を手ぎわ良く、そして慎重に運び入れる。「◯◯丸」と書かれた漁船の上に。 「完了です。行きましょう!」  そういわれ、私も船に飛び乗った。  ひとつの場所をたいせつに整えて、長く、落ち着いて暮らしたい。わりと真剣にそう考えているのに、みえない星の運命帳にどでかい移住の刻印でも押されているのか、海外でも国内でも、引っ越しばかりしている。  雪の舞う去年

イナダシュンスケ|味噌煮のロマン

第9回 味噌煮のロマン  かつて日本の農村の標準的な食事はどのようなものであったか、という話を聞いたことがあります。  ご飯は雑穀米、しかも米より雑穀の割合が多いのが当たり前でした。おかずは野菜のみ。漁村でもなければ魚は滅多に食べられませんし、肉はそもそも食べる習慣自体がありませんでした。  その野菜は基本的に家の畑で採れたものです。何種類かの野菜を並行して育てていても、採れるときには1種類の野菜だけが大量に採れます。その野菜をまとめて味噌で煮込んだものが日々のおかず。それを

透明ランナー|「写真新世紀30年の軌跡展」――若手作家の登竜門、30年の歴史を振り返る

▼ 透明ランナーによるイベントはこちら ◎ 【11/30までアーカイブ動画公開中】 ローカル芸術祭・徹底ガイド|透明ランナー ◎ ドラフト2022 最速レビュー!by透明ランナー  2021年2月、ひとつの公募展の終了が発表されました。  「写真新世紀」。1991年に始まった、新人写真家の発掘・育成・支援を目的とした公募展です。経験(プロ、アマチュア)、国籍、年齢、性別は一切不問。それまでの実績は関係なく、すべての応募者がフラットに審査されます。  30年の歴史の中で後

ピアニスト・藤田真央#14「あと2日でユジャの代役を――ネルソンスとの出逢い」

毎月語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」 ★今後の更新予定★ #15   11月25日(金)  →11月末公開予定  夏の暑さの盛りを過ぎても、欧州各地を飛び回る日々はまだまだ続きます。  9月2日からは、ジョージアの小村ツィナンダリで行われるツィナンダリ音楽祭に参加しました。2日にはオクサナ・リーニフの指揮のもとブラームスの《ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 Op.15》、4日はリサイタル、そして6日にはヴァイオリニストのルノー・カピュソン、チェリストのキアン・ソ

史上最年少の乱歩賞作家が、"終末ミステリー"に辿り着くまで――荒木あかね『此の世の果ての殺人』

 歴代最年少の23歳7カ月で第68回江戸川乱歩賞を受賞。選考委員全員からの絶賛とともに、新たなスター作家が誕生した。  小惑星が日本に衝突し、地球が滅びるまであと2カ月。街から人の姿が消え、山奥では世をはかなんだ人たちが「奥地自殺」を図っている。大混乱に陥った世界をよそに、23歳の小春は小さな夢をかなえるため、自動車教習所に通っていた。教習所にはただ一人、イサガワという女性教官が出勤し、小春の実習を担当している。彼女たちが乗ろうとした車のトランクから、滅多刺しにされた女性の死

浅倉秋成|お茶が「りん」と鳴る

 佐賀県・嬉野温泉にある和多屋別荘で〈ライター・インレジデンス〉を体験中の作家 浅倉秋成さんが、現地での体験をもとに書き下ろされたエッセイをお届け!    11/3(木・祝)の浅倉さんの講座・生配信をご覧の方はぜひこちらもお読みください。 《配信の詳細はこちら》 *** 「香りを『聞く』んです」  はて、と宙を仰いだのはほんの一瞬で、気づけば妙な納得感に包まれていた。香りを「嗅ぐ」と表現してみるとどうだろう。一般的な表現であるには違いないが、これでは漂ってくる匂いをひ

【アーカイブ公開中】浅倉秋成さんがエッセイのセオリーを大公開! YouTubeライブでお届け

 佐賀県・嬉野温泉にある和多屋別荘で〈ライター・インレジデンス〉を体験中の作家 浅倉秋成さんが「エッセイ」のセオリーを伝授する講座「書くをはじめてみよう!」を開催します!  その模様を YouTubeライブでお届け(無料でご覧頂けます)。  11/3(木・祝)13:00~14:00、「通知オン」ボタンを押してお待ちください。 URL:https://youtu.be/lqp0MVwdFwg 《講座の詳細はこちら》 * 【お手本】浅倉さんが書き下ろされたエッセイ  レ