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透明ランナーのアート&シネマレビュー

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2022年8月の記事一覧

透明ランナー|ウォン・カーウァイの映画をふたりの小説家から読み解く――村上春樹、そしてマヌエル・プイグ

透明ランナー|ウォン・カーウァイの映画をふたりの小説家から読み解く――村上春樹、そしてマヌエル・プイグ

 香港の映画監督ウォン・カーウァイ(1958-)の作品を4Kレストアバージョンで上映する特集「WKW4K ウォン・カーウァイ 4K」が、8月19日(金)から始まりました。上映されるのは『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』『花様年華』『2046』の5本。彼のキャリアを代表する作品が自らの手によりレストアされ、映画館のスクリーンで鮮やかに蘇ります。札幌から那覇まで全国約40の映画館で順次公開

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透明ランナー|瀬戸内国際芸術祭2022夏会期 Vol.2【小豆島・男木島・女木島・大島・高松篇】

透明ランナー|瀬戸内国際芸術祭2022夏会期 Vol.2【小豆島・男木島・女木島・大島・高松篇】

 前回の記事「瀬戸内国際芸術祭2022夏会期 Vol.1」に続き、今回は小豆島、男木島、女木島、大島、高松の作品を紹介します。

小豆島 2万5000人ほどが住む小豆島は、船でしか行けない(橋や空港がない)島として国内最大の人口を有し、フェリーの発着本数は日本一です。広い島内の各地に作品が点在し、事前に計画を立てないとなかなか観たい作品を回りきれないエリアでもあります。

 小豆島で今回最も良かっ

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透明ランナー|瀬戸内国際芸術祭2022夏会期 Vol.1【直島・宇野港・豊島・犬島篇】

透明ランナー|瀬戸内国際芸術祭2022夏会期 Vol.1【直島・宇野港・豊島・犬島篇】

 3年に1度開かれる日本最大級のアートイベント、瀬戸内国際芸術祭2022 夏会期がついに始まりました! 瀬戸内海に広がる美しい島や港を舞台に、今回で5回目となるこの芸術祭。33の国・地域から184組のアーティストが参加し、彫刻、写真、映像、演劇、さまざまなジャンルの作品を楽しむことができます。
 今年7月にはTIME誌の“The World's Greatest Places of 2022”で紹

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透明ランナー|『異端の鳥』&『マルケータ・ラザロヴァー』――無限の想像力に酔いしれる3時間

透明ランナー|『異端の鳥』&『マルケータ・ラザロヴァー』――無限の想像力に酔いしれる3時間

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。
 先日このツイートが目に入った瞬間、私は嬉しくて叫び声を上げてしまいました。ヴァーツラフ・マルホウル監督の映画『異端の鳥』(2019、チェコ、スロヴァキア、ウクライナ合作)が、2022年8月5日(金)からAmazonプライムビデオ見放題となりました。私が近年観た映画の中で最も忘れがたく、強烈に心に残った作品のひとつです。

 映画化不可能と

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