ハイツ友の会・清水香奈芽、初エッセイ!〈笑けるパターン〉
笑けるパターン
日々生きていると色んな感情になるかと思います。色んな感情にはなりますが、対人関係において外に出す機会が多いのはポジティブな感情です。ネガティブな感情を出し過ぎる人はややこしいと思われるからです。実際ややこしい気がします。だからといってポジティブこそ正義みたいな雰囲気を出されるとそれはそれでややこしいです。
それは無理やろみたいなこともポジティブに持っていこうとする人がいます。あれは私が小学1年生のときでした。登校して朝の会が行われている最中、クラスメイトの女の子が体調優れずおぇっとなってしまいました。すると担任の先生がそのおぇっとなってしまったものを見て、「あら、朝ごはんいちごトースト食べたの? ストロベリーのいい香り」と言いました。「この人何言うてんねん」と思いました。今でも鮮明に覚えています。先生なりにその女の子が少しでも楽な気分になるように気遣った発言だとは思うのですが、無理のあるポジティブだと私は思いました。無理がある故、やはり教室のみんなもポカンとしていました。
当たり前なのかもしれませんが、故意のポジティブより自然と出てしまうポジティブの方が、自分にとっても相手にとっても気分のいいものだと思います。なので自分から自然と出てしまうポジティブは何かということを自分で理解していると、日常が少しでも豊かになるのかもしれません。
自然と出てしまうポジティブにもたくさん種類があると思いますが、その中でも笑うという行為は大部分を占めていると思います。もちろん笑うことは故意にもできますが、本当に笑ってしまっているときは自分の場合も相手の場合も大体わかります。会話の流れで爆笑することがあったり、本当に面白い人がいればその場が大盛り上がりすることもあります。でもそういう笑いはいつどう起こるか予想がつきにくいです。
それに比べ、自分だけがつい笑ってしまう〝笑ける〟という状況は、何がどういう理由で笑けるのかというパターンが摑みやすいです。私はそのパターンを自分で理解できている部分もあります。なので誰かと一緒にいる場合は相手にも何がどういう理由で笑けるのかを伝えることが多いです。一人でいるときに見たり聞いたり感じたりしたことならLINEで送ったり、後日会ったときに共有することもあります。誰かに伝えることで、相手の反応が「ほんまや」「何がやねん」のどちらにせよ倍増して笑けてきます。私が本当に笑けている場合、相手もそれを受けて本当に笑けているように感じることが多いです。気のせいだったらすいませんが。こういう時間が沢山あると気分がいいです。何がどういう理由で笑けるのかを自分で理解しておくと、気分のいい時間を自分から作りにいくことができるのではないかと思います。
どういったことで笑けるかは本当に人それぞれだと思うので自分以外の笑けるパターンにも興味がありますが、ここでは私のパターンを勝手に紹介してみようと思います。
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