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「思わず一気読み」「心からおすすめしたい」など激推しの声多数! 大前粟生さん『チワワ・シンドローム』のレビューをご紹介します
大前粟生さんの最新刊『チワワ・シンドローム』が2024年1月26日に発売になりました。早くも届いた読者の方々からの〝激推し〟の声の数々、ご紹介いたします!
とても面白かった!!
大前さんがこれまで描いてきた「やさしさ」にはとても共感していたが
ネット上での正義感や、なんでも傷つけないことがいいことという
昨今の世の流れには疑問に思うことも多々あって、
それをこんな解像度で描けるのはやはり大前さんしかいないし
うまく言えないけれど、我々が大前さんを時代の代表のように持ち上げすぎたから、いま、大前さんから復讐されているんだ、という気持ちになりました(もちろんいい意味で)。
10代の読者や「傷つくことも傷つけることも怖い」と考えている人たちにも
心からおすすめしたい1冊です。
面白かった!
思ってたよりもちゃんとミステリだった。
ミステリ的な構造と、小説を貫く主題がガチっと噛み合う瞬間があり、「これは、大前粟生がミステリを書く意味がある…!!」と感動した。
純文読みにもミステリ読みにも届いて欲しい小説です。
世の中を賑やかす「チワワテロ」とインフルエンサーたちを巡るミステリーのような親しみやすいストーリーで、何となく読み始めたものの、思わず一気読みしてしまいました。
日常に蔓延る生きづらさや凄まじい世の中の変化に対して、人々は強さではなく「弱さ」に憧れてしまうという作中のテーマが鋭く、読んでいて共感しました。
なんとなくタイトルに惹かれた『チワワ・シンドローム』。チワワのピンバッジを気づかぬうちに取りつけられているという謎の〈チワワテロ〉が全国各地で発生——だなんて、なんなんですかそれはと完全に心を掴まれストーリーの渦に巻き込まれながら夢中で読む。
自分を守るために、チワワのように弱くなりたい。そんな願望を持つ現代人たち。この生きづらい世の中をなんとか生きていくために、ねじれながらも適応し、よじれながらも順応していく。今の現代社会が色濃く描かれた背景の中で、ミステリー要素を楽しみつつも、「強さ」とは? 「弱さ」とは? と考えさせられる良作。
これまたチワワというのが絶妙で、小さくてか弱いものの象徴のようでいて、何やら強気に吠えてかかるようなところも無きにしも非ずなイメージが、「弱さ」を「強み」にしていて、〈チワワ・シンドローム〉とは言い得て妙だ。
弱かったり強かったりしながら、ありのままに自分が自分らしく、この現代を生き抜いていけるように、今、たくさんの人に読まれてほしいと思う作品。
私自身、『弱さ』を抱えたままで生きていたいと思うことがあります。
『弱さ』を抱えていれば誰かが庇護してくれて、それに安堵して何も考えなくて済むから。
だから強さより弱さの方が最大の防御だと考える時もあるけれど、本作を読んでからは果たしてそうなのだろうかと一石を投じたくなりました。
「チワワテロ」によって炙り出される、「弱さ」を抱えることの是非。安堵の中にある不安。SNS全盛の時代で、弱さ比べが蔓延るいまだからこそ、たくさん読まれて欲しい。
なかなかタイムリーな内容でもあったので、尚のこと刺さったのかもしれません。
誰だって弱さを覚えていいし、誰かにそれを預けたっていい。でも、そのとき、きちんと自分の人生の手綱は握っていたい。
これを両立させる為に、自分はどう変われるのか。
一見して可愛らしくて不気味なチワワテロの謎を追うスピーディかつ二転三転する展開と、くどくない登場人物たちが物語を動かすので一気読みでした。
若者であればこその共感も多いように思います。
大前さんの新作をいつも楽しみにしています。
今作も胸が詰まりそうになりながら読みました。
「弱さ」のアピールをSNS上でもよく見かける。誰かに寄り添ってもらいたいというそんな思いがあるのだろう。弱さをさらけ出すのは悪いことではない。そのアピールにより繋がった関係性と、その繋がりにより自分はどうしていきたいのか、そんな問いかけを感じました。
本の紹介文から、若者文化がテーマになっているみたいだから、読んでおかないといけないかな、という気持ちで読み始めました。
ですが、読んでいて、琴美が、親友のミアとの関係性のあり方に持ち始めた違和感や疑問が、私も日ごろ感じていることと重なり、強く共感しました。
ミステリーや、社会現象を描き、エンターテインメントとしても楽しみつつ、確かなメッセージも伝わってくる作品でした。
そのままの自分でいい、生きているだけで素晴らしいというのは間違いではないけれど、その言葉に大切なものを奪われてしまっているのではないかと考えるきっかけになるのではないかと思いました。
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書評も続々公開されています!
一部引用してご紹介します
▼「Forbes JAPAN」三橋曉さん評
驚かされるのは、一見他愛ない愉快犯のいたずらにも見える事件を俎上にあげ、あくまでこの作者らしい世界観と方法論で、暴力に走らない謎解きの物語をきちんと成立させていることである。
まず、世間を騒がせる「チワワテロ」をめぐり「何が起きているのか?」というWhatの大きな謎があって、やがてそれは Who(犯人?)やWhy(動機?)といった謎解きに引き継がれていく。それと並行し、事件と密接に関わるMAIZU(マイズ)という謎のYouTuberの不気味な存在も、サスペンスを盛り上げるのにひと役買っている。
(中略)
自分ばかりか周囲をも時代の呪縛から解き放っていくヒロインの変貌が眩しい。いまの日本社会に光を投げかける成長の物語ともいえるだろう。
▼「本の雑誌WEB」高頭佐和子さん評
帯に書かれた「チワワテロ」という言葉のインパクトに惹きつけられた。なんだ、そのかわいい名前のテロは? チワワが突然に100匹くらいじゃれついてくるとか? 目をうるうるさせた小さなワンコたちが武器を持って人間を襲ってくるとか?
いろんな妄想をしつつ手に取ったのだが、私の想像力など全く及ばないやり方で、現代社会の問題にビシッと切り込んでくる小説だった。
▼「ダ・ヴィンチWEB」立花ももさん評
傷を主張し、弱さを利用して、自分の立場を確保することはときにとても心地がいい。守ってもらえるだけでなく、強者を弾劾する権利にもつながる。だがその裏で、傷ついた果てで声をあげることもできない人が踏みつけにされていることも、本作では繊細に描いていく。自分の弱さをたてに誰かを傷つけていないか。目の前にいる人を、自分自身を、本当の意味で大切にできているだろうか。優しくも厳しい問いかけが本作には詰まっている。
『チワワ・シンドローム』の冒頭はこちらで試し読みができます。たっぷり45ページ分! 先読み書店員さんのご感想とともにお楽しみください。
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『チワワ・シンドローム』
大好評発売中!
![](https://assets.st-note.com/img/1707916450782-hpgnSpGQDK.jpg?width=1200)
大前粟生(おおまえ・あお)
1992年、兵庫県生まれ。2016年、「彼女をバスタブにいれて燃やす」が「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」の公募プロジェクトにて最優秀作に選出され小説家デビュー。20年刊行の『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』によってジェンダー文学の新星として注目を集める。同作は23年に英語版の刊行、金子由里奈監督による映画化を果たし、国内外に反響を広げている。21年、『おもろい以外いらんねん』で第38回織田作之助賞候補。22年刊行の『きみだからさびしい』は、価値観が多様化する現代の恋愛を繊細に描いていると各メディアで話題に。他の著作に、『回転草』『柴犬二匹でサイクロン』『死んでいる私と、私みたいな人たちの声』がある。
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