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【 #2022年日本公開映画ベスト10! 】――「今まで語られなかった物語」が語られた一年|透明ランナー

WEB別冊文藝春秋

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 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。

 コロナ禍で撮影が止まり、映画館が閉まり、映画祭が中止された暗黒の数年間を脱し、映画産業に光が戻ってきた2022年でした。今年もさまざまな傑作がスクリーンやディスプレイを賑わせ、多くの「今まで語られなかった物語」が語られるようになりました。

 映画ファンは習性としてなぜか毎年ベスト10を作ってしまう生き物です。「こんな映画あったな~」「この映画知らなかった!」とそれぞれのランキングを見比べるのも楽しいですし、数年後「昔の自分はこんな映画を評価していたんだ」と振り返るのもまたひとつの楽しみです。

 この記事では「2022年日本公開映画」(国内で劇場配給された映画+動画配信サービスで独占配信された映画)について、私が選ぶベスト10を挙げていきたいと思います。


2022年公開映画ベスト10

①『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』サンティアゴ・ミトレ

 かなり悩みましたが2022年の1位はこの映画に決めました。1985年に行われた歴史的裁判を題材とし、軍部の責任を追及する検事の視点から描く作品です。多数の人物が複雑に絡む群像劇としても法廷ドラマとしても見応えがありますが、終盤の展開には誰もが圧倒されるに違いありません。アカデミー国際長編映画賞にも間違いなくノミネートされるでしょう。

 「東京国際映画祭――『1976』とチリ映画が辿った苦難の歴史」という記事でチリ・ピノチェト政権を描いた映画『1976』を取り上げましたが、ラテンアメリカにとって軍事独裁政権の苦い記憶は現在も色濃く残っています。アルゼンチンは1970年代後半ホルヘ・ビデラ(1925-2013)独裁政権下にあり、多数の市民が拷問の末殺害される暗黒時代を迎えました。1981年にビデラが失脚して以降アルゼンチンは民主主義を貫いていますが、その過去を清算するのは容易なことではありません。
 『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』は歴史を知らなくとも骨太なヒューマンドラマとして楽しめますが、歴史を学べばもっと面白く観ることができるはずです。

 サンティアゴ・ミトレ(1980-)は『パウリーナ』(2015)がカンヌ国際映画祭で高評価を受け、オールスターキャストで挑んだ勝負作『サミット』(2017)はやや空回りしていたのですが、本作では共同脚本にマリアノ・ジナス(1975-、868分ある超大作『ラ・フロール 花』が2021年日本でも上映されました)を迎えて完璧にリベンジしてくれました。Amazon Prime Video配信作品で、2022年12月17日(土)・18日(日)には映画館のスクリーンでも上映されました。


②『スペンサー ダイアナの決意』パブロ・ラライン

 パブロ・ラライン(1976-)ありがとう!! クリステン・スチュワート(1990-)の圧巻の演技は言うまでもありませんが、脚本、演出、音楽、撮影、すべてが高いレベルで結実しています。10年以上追い続けてきたララインファンとしては感無量です。今後何度も何度も観返すことになるでしょう。ちょうどこの記事が公開される12月26日(ボクシング・デー)の話でもあります。映画ってここまでできるんだ……とあらためて感じ入った完璧な1本でした。いやぁ映画って本当にいいものですね。


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