今村翔吾「海を破る者」#025
六郎たち日ノ本軍は、圧倒的な兵力を誇る蒙古軍と睨み合いに。
――その時、船をも呑み込む暴風雨が吹き荒れた。
日ノ本軍の奇襲は成功に終わった。どの船からも火矢を徹底的に浴びせ、多くの蒙古船を焼き払った。正確な数こそ不明であるが、その数は三十を優に超すであろう。半焼のものも含めれば百にも迫るほどである。
日ノ本軍は当初から敵船団の前で舵を切り、一撃を与えるのが目的であった。当然だが船というものは舳先より、側面を敵に向けたほうが、より多くが一斉に攻撃することが出来る。そうして