前川ほまれ|一緒に映画を観たい人
私は元々、趣味が少ない。強いて挙げるとするなら、映画鑑賞だろうか。特に好きな映画のジャンルはないので、いつも直感で観る作品を選んでいる。
小説の執筆においても、映画鑑賞後に新作のイメージが閃くことが多々あった。たとえば私の既刊『セゾン・サンカンシオン』は、ジェームズ・マンゴールド監督の『17歳のカルテ』に強く影響を受けている。それに、作家として活動するようになってから、映画は心理的な避難場所としても機能していた。執筆がどうしても行き詰まった時は、一旦全てを投げ出して映画の