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2023年1月の記事一覧

祝直木賞! 小川哲さんの新作読み切り「Butter-Fly」――初の自伝的青春小説。上京して2年がたって… 

#002 Butter-Fly  世の中には、野暮な人間がいる。  野暮な人間は「お前、野暮だな」と言われると、「野暮ってどういう意味だよ。具体的に何が悪いのか説明してくれないとわかんないよ。『野暮だ』とか『無粋だ』とか『しひて言ふもいとこちなし』だとか、曖昧な表現でなんとなくお茶を濁しやがって、源氏物語じゃあるまいし。そうやって日本人の侘び寂びみたいな伝統を利用して、説明責任を逃れようとしているだけだろ」などと反論を始める。  すると、「そういうところが野暮なんだよ」と笑

ピアニスト・藤田真央#19「モーツァルトが楽譜に残した”手がかり”――ピアノ・ソナタ全曲リサイタル」

#19 モーツァルトが楽譜に残した”手がかり” ――ピアノ・ソナタ全曲リサイタル  2月4日(土)の京都コンサートホールでの演奏会を皮切りに、また日本全国を飛び回る日々が始まります。2021年3月からスタートした「モーツァルト:ピアノ・ソナタ全曲演奏会」シリーズも第5回、ついに最終回を迎えることとなりました。  今回のコンサートでは、 の5曲を演奏する予定です。初期から最晩年までのソナタを作曲年順に並べることで、モーツァルトの人生を辿り、その創作スタイルの変化を感じ取っ

【開催決定!】2/15(水) 19:30- 2023年刊行の「華文ミステリ大傑作」一挙公開!

2023年を席巻する華文ミステリは何か?  各出版社によるプレゼン合戦スタイルでお届けします!  2022年も華文ミステリは次々と翻訳出版されました。陳漸『大唐泥犁獄』(中国)、莫理斯『辮髪のシャーロック・ホームズ』(香港)、周浩暉『邪悪催眠師』(中国)、唐嘉邦『台北野球倶楽部の殺人』(台湾)etc…  時代ミステリあり、警察小説あり、古典ミステリのパスティーシュあり、それぞれの国や知識の歴史や文化、社会情況を反映しつつ、読者の意表をつくサプライズが仕掛けられた作品でした。

橘ケンチ『パーマネント・ブルー』、全国4店舗でサイン本販売決定!

 EXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマー・橘ケンチさん初の小説『パーマネント・ブルー』が、いよいよ 2023年2月8日(水)に発売になります。  それに先駆けて、下記書店さんにて「ケンチさん直筆サイン本」の販売が決まりましたので、ご報告致します! 《サイン本取り扱い書店》―東京―【1】紀伊國屋書店 新宿本店 抽選制、オンライン受付開始 1/28(土)12:30 *配送不可 ※応募受付は終了しました ―広島―【2】紀伊國屋書店 広島店 抽選制、オンラ

「DOMANI・明日展 2022-23」――2年ぶりの開催となった文化庁・在外研修の成果展|透明ランナー

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。  今回紹介するのは、六本木・国立新美術館で2023年1月29日(日)まで開かれている「DOMANI・明日展 2022-23」です。  文化庁は若手芸術家の海外研修を支援する「新進芸術家海外研修制度」(略称:在研)を1967年度から実施しており、美術分野ではこれまでに1,400人を超える人材を送り出してきました。この研修の成果を発表する機会として、1998年から「DOMANI・明日展」が開催されています。当初の会場は

二宮敦人「サマーレスキュー ポリゴンを駆け抜けろ!」#011

失踪した友人を救うため、オンラインゲームに再びログインした千香。 彼女を待ち構える謎のプレイヤーの正体は……? 第六章 千香が再びログインすると、そこでは狼男が激しく暴れていた。  しまった。  考えてみれば祥一や巧己と話したり、キューを待ったり、ご飯を食べたりしているうちに、ずいぶん時間が過ぎてしまっていた。時計で確かめると、もう四時間以上経っている。  いつ戻るかはっきり約束したわけではないけれど、彼の性格からして……。 〈遅いぞ! 遅いぞ! 遅いぞ!〉 〈おまぬけ人間

ピアニスト・藤田真央#18「わたしの卒業論文――理想的なコンサート・プログラムとは?」

毎月2回語り下ろしでお届け! 連載「指先から旅をする」 ◆大学院の卒業試験が、さながらホームコンサートに  12月3日に南ドイツの「シュロス・エルマウ」でのリサイタルを終え、わたしは大学院の卒業試験を受けるため、翌日ベルリンに戻りました。  わたしが通っている大学院「ハンスアイスラー音楽大学 ベルリン」では、卒業に際して実技テストと論文の提出が求められます。  実技テストは、60分程度のプログラムを自由に作成し、教授陣の前で演奏しなさいというもの。わたしは、 という得

【2/24大阪でも開催決定!】橘ケンチ初小説『パーマネント・ブルー』サイン本お渡し会

 EXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマー・橘ケンチの新たな挑戦―― 。  ダンスに出会い、人生を懸けたいと願う主人公・相馬賢太と、チームメイト・鉄平、大輔、柊、4人の青春を描いた初小説。 『パーマネント・ブルー』と名付けられたこの物語が、2023年2月8日(水)、文藝春秋より刊行されます! 〇  ブックデザイナー・川名潤氏の手で完成した装丁がこちら。 〇 帯にはこのおふたりからのメッセージも 作家・三浦しをん クラブカルチャーと無縁で生きてきた

2022年の美術展&ギャラリー展示ベスト10|透明ランナー

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。  私が美術展・ギャラリー巡りを本格的に始めたのは高校生のとき。それ以来毎年さまざまなジャンルの展覧会を訪れました。地方の美術館や芸術祭にも、時間を見つけては夜行バスや青春18きっぷで足を運んできました(その様子を「限界旅行」と称し、WEB別冊文藝春秋でオンライントークイベントをする機会を与えていただきました)。  2022年は美術館とギャラリーあわせて186の展示に行くことができました。この記事ではその中からそれぞ

マルチバースカンフー映画からパルム・ドール受賞作まで…今年映画館で見たい作品10選!|透明ランナー

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。  2022年6月に始まった本連載「透明ランナーのアート&シネマレビュー」では、映画と美術展のレビューをこれまで34本お届けしてきました。読んでくださった皆様のおかげでここまで続けることができました。2023年もよろしくお願いします。  2022年の映画の振り返りとして、「2022年日本公開映画ベスト10」&「2022年日本未公開映画ベスト10」という記事を書きました。2023年も楽しみな映画が目白押しです。  この記