藤井太洋「オーグメンテッド・スカイ」 #001
2024年、鹿児島。
寮で高校生活を送る僕たちは、インターネットの向こう側の世界に「ゲリラ戦」を挑むことにした。自由を獲得するために――。
SF小説の旗手が挑む、最旬青春小説
食堂のテーブルに置いたタブレットには、桜並木に挟まれたコンクリート舗装の急な坂を、大きな荷物を抱えて登ってくる少年たちと、その父母の姿が映し出されていた。
坂を登った先にある鹿児島県立南郷高等学校の理数科に合格し、蒼空寮に入ってくる新入生たちだ。彼らは卒業までの三年間を、親と離れて過ごすことにな