マガジンのカバー画像

透明ランナーのアート&シネマレビュー

58
運営しているクリエイター

2022年9月の記事一覧

透明ランナー|「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」展――広がり続ける写真芸術の自由な可能性

透明ランナー|「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」展――広がり続ける写真芸術の自由な可能性

 こんにちは。あなたの代わりに観てくる透明ランナーです。

 今回紹介するのは、東京都写真美術館で開かれている「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」展です。「日本の新進作家」展は2002年から東京都写真美術館で定期的に行われている企画展で、新たな写真・映像表現に挑戦している若手作家の作品をピックアップして紹介するものです。私は2008年の「vol.7」以降毎回訪れ、どんな作品と出会えるのか

もっとみる
透明ランナー|『LOVE LIFE』――人と人との分かりあえなさ、深田晃司が描き続ける“孤独”

透明ランナー|『LOVE LIFE』――人と人との分かりあえなさ、深田晃司が描き続ける“孤独”

 映画『LOVE LIFE』が2022年9月9日(金)から公開されています。本作の深田晃司(ふかだ こうじ、1980-)監督は、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した『淵に立つ』(2016)をはじめ、人間の心に根ざす孤独を見つめる映画を作り続けてきました。

 本作の主人公は30代の女性、妙子(木村文乃)。再婚した夫・二郎(永山絢斗)、息子の敬太(嶋田鉄太)と3人で暮らしていま

もっとみる
透明ランナー|「李禹煥」展――代表作から新作まで、現代美術界の巨匠の絵画と彫刻の“変遷”を楽しむ

透明ランナー|「李禹煥」展――代表作から新作まで、現代美術界の巨匠の絵画と彫刻の“変遷”を楽しむ

 1960年代から現在に至るまで、絵画と彫刻の両面で戦後日本の現代美術を牽引し続けてきた巨匠、李禹煥(リ・ウファン、1936-)。国立新美術館の開館15周年記念展として、彼の業績を振り返る大規模個展「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」が開催されています。

 李は韓国で生まれ、日本で文学や哲学を学んだ後、1960年代後半から本格的に絵画・彫刻作品の制作を始めます。初期には物質にほとんど手を加え

もっとみる
透明ランナー|国際芸術祭「あいち2022」――現代アートから土地の歴史・文化・産業を想起する

透明ランナー|国際芸術祭「あいち2022」――現代アートから土地の歴史・文化・産業を想起する

 名古屋市をはじめとした愛知県内各所で、国際芸術祭「あいち2022」が10月10日(月・祝)まで開催されています。2010年から2019年まで3年ごとに開催されていた「あいちトリエンナーレ」を引き継ぐ形で、運営体制を一新して新たな芸術祭として再スタートを切りました。
 現代美術展には32の国と地域から82組のアーティストが参加しています。同時に開催されるパフォーミングアーツ(演劇やダンスなどの舞台

もっとみる