WEB別冊文藝春秋

WEB別冊文藝春秋

《読んで楽しむ、つながる》小説好きのためのコミュニティ! 月額800円で、人気作家の作品&インタビューや対談、エッセイが読み放題。作家の素顔や創作秘話に触れられるオンラインイベントのほか、お題企画や投稿イベントなど参加型企画も盛りだくさんでお届けしていきます。

リンク

マガジン

  • WEB別冊文藝春秋

    《読んで楽しむ、つながる》小説好きのためのコミュニティ! 月額800円で、人気作家の作品&インタビューや対談、エッセイが読み放題。作家の素顔や創作秘話に触れられるオンラインイベントのほか、お題企画や投稿イベントなど参加型企画も盛りだくさんでお届けしていきます。

  • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」

    24歳の若き天才ピアニスト・藤田真央氏によるエッセイ

  • 令和元年の人生ゲーム

    第一志望だった慶應に合格し、晴れて上京。 新生活への希望に胸を膨らませる僕を迎えたのは、 「元」高校生社長と、暗い目をした不気味な男だった――

  • 宮島未奈「婚活マエストロ」(*小説)

    マンションの大家に誘われて、婚活パーティに参加することになった猪名川健人。そこに現れたのは、妙に律儀な社長と、司会として生真面目にマイクを握る “婚活マエストロ” 鏡原奈緒子だった。

  • 今村翔吾「海を破る者」

    日本を揺るがした文明の衝突がかつてあった――その時人々は何を目撃したのか? 人間に絶望した二人の男たちの魂の彷徨を、新直木賞作家が壮大なスケールで描く歴史巨篇

ウィジェット

WEB別冊文藝春秋

《読んで楽しむ、つながる》小説好きのためのコミュニティ! 月額800円で、人気作家の作品&インタビューや対談、エッセイが読み放題。作家の素顔や創作秘話に触れられるオンラインイベントのほか、お題企画や投稿イベントなど参加型企画も盛りだくさんでお届けしていきます。

  • 固定された記事

【㊗発売即重版!】ピアニスト・藤田真央さん初著作『指先から旅をする』

 ピアニスト・藤田真央さんによるエッセイ&語り下ろし連載「指先から旅をする」がこのたび本になりました。 弱冠24歳にして「世界のMAO」に 2019年、20歳で世界3大ピアノコンクールのひとつ、チャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞。以降、世界のマエストロからラブコールを受け、数々の名門オーケストラとの共演を実現させてきた藤田さん。 現在はベルリンに拠点を移し、ヴェルビエ音楽祭、ルツェルン音楽祭といった欧州最高峰の舞台で観客を熱狂させています。 エッセイ&語り下ろし

    • ピアニスト・藤田真央エッセイ #50〈ビシュコフとの最強タッグ――チェコ・フィル日韓ツアー〉

      『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 「夢は口に出せば叶う」  ありがちなフレーズではあるが、私もこの言葉には大いに頷きたい。もっとも「横浜DeNAベイスターズの監督になりたい」や「チャーハン専門店を出したい」といったような無理難題、欲深な願いは叶うはずないが、ここ数年、「あの指揮者・あのオーケストラといつか共演したい」という憧憬は徐々に実現しつつある。  2023年10月にアジアツアーで共演した楽団——チェコ・フ

      • 【新入生応援! 無料公開中】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

        〈タワマン文学〉の旗手・麻布競馬場待望の第2作『令和元年の人生ゲーム』。発売直後から「他人ごととは思えない!」と悲鳴のような反響が続々と…… 4月、やる気に満ちた新入生の皆さまの応援企画として、第1話〈意識の高い慶應ビジコンサークル篇〉を期間限定で全文無料公開いたします! これを読めば5月病も怖くない……はずです。 『令和元年の人生ゲーム』 第1話 平成31年  2016年の春。徳島の公立高校を卒業し、上京して慶応義塾大学商学部に通い始めた僕は、ビジコン運営サークル「イ

        • 祝・本屋大賞! 宮島未奈最新作「婚活マエストロ」第三話

          ▼第一話&第二話を期間限定で無料公開中です 第三話 鏡原さんからのLINE通話で叩き起こされた俺は、とりあえず顔を洗ってひげを剃った。用件は何も言われていないが、婚活イベント関連だろう。二週間前にシニア婚活パーティーに行ったときは、取材のつもりだったのにスタッフをやることになってしまった。いずれにせよ、四十男がパーカーにジーパンは好ましくない。  クローゼットを開いてみれば、十年ものの衣装ばかりが入っている。ずっと家で仕事していたから、服装には無頓着だった。こうやって外に出

          • 寺地はるな・新連載スタート!「リボンちゃん」#001

            第1話 商店街のスピーカーから流れてくる調子っぱずれなクリスマスソングにかぶせるように「焼き立てパンはいかがですか」という若い女の店員の甲高い声がひびきわたった。青果店の店主もパン屋に負けじと大声で「しいたけつめ放題だよ!」と客を呼びこむ。  あちらこちらにクリスマスツリーが乱立しており、アーケードの天井からは季節はずれの桜の造花がたれさがっている。色とりどりの看板やのぼり、壁にはポスター。かわいい女の子がにっこり微笑んでいるそのポスターには覚せい剤は絶対にダメである旨が書か

            • 寺地はるな〈はじまりのことば〉

               じつを言うと、2016年ごろからずっと小説のアイデアが尽きている。2016年というと、はじめての単行本が出た翌年だ。いくらなんでも尽きるのがはやすぎる。  書きたいことなんかもうなんにもないよ! と思いながらもどうにか絞り出してきたのだが、去年あたりからめっきり体力が落ち、集中力も十五秒ぐらいしか続かなくなり……といったあんばいで、いよいよもうむりなんじゃないかと思いはじめた。  別冊文藝春秋の連載前の打ち合わせで「女性用下着の話を書きませんか(大意)」と言われた時も、反射

              • 夕木春央「有栖川有栖嫌いの謎」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします

                一 東京からは一日がかりだった。朝九時に品川駅で担当編集の水戸部氏と待ち合わせて、新幹線で岡山に向かうと、そこからは在来線とバスを乗り継ぐ。バスの本数が少ないから、停留所で二時間余りの暇つぶしが必要だった。  夕暮れ前にバスを降りると、川の向こうに宿泊予定の温泉ホテルが見えた。遠目にもコンクリートのひび割れが明らかな、いかにも古い五階建てだった。見渡す限り、他に背の高い建物はない。 「なんだ、これ地図見なくても余裕ですね。では、あそこまで歩きなので」 「ああ、はい」  水戸部

                有料
                300
                • 白井智之「ブラックミラー」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします!

                  ※『マジックミラー』(有栖川有栖・著)の真相に関わる記述があります。未読の方は必ず先にお読みください。 1 友人からメッセージが届くと気が重くなる。何か迷惑をかけただろうか。気を悪くするようなことを言っただろうか。僕は気を揉みながら十分くらいかけてメッセージを開く。するとたいてい、「最近どう?」とか「元気?」とかスカスカの麩菓子みたいな言葉が並んでいる。僕は胸を撫で下ろすが、返信を練るうち、今度はだんだん腹が立ってくる。なぜこんな駄菓子野郎に自分の近況や健康状態を開示しなけ

                  有料
                  300
                  • 堂々完結! 今村翔吾「海を破る者」#026(最終回)

                    荒波に呑み込まれんとする蒙古兵たちを前に、六郎が下した決断とは――。感動の叙事詩、堂々の完結! 「追い首は手柄にならぬ。ましてや抜け駆けならば猶更。ならばいっそのこと救い上げ、それでも向かって来た時に討ったほうがよい」  敗走する敵を討つのは誉とされず、手柄にならぬこともほとんど。それが抜け駆けならば、罰せられることさえあるのは確かだ。  しかし、短い付き合いであるが解る。手柄に拘る自らの流儀は崩さない。そのように見せ掛けてはいるが、それが決して本心ではないことを。季長は沈

                    • 自意識を素直に認めよう――日テレディレクター・安島隆の愛読書

                       何の気なしにグッズのスタジャンを羽織って外出するほどには、余韻がぷんぷん残っている。約2ヶ月前の2024年2月18日に開催された「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」。ドームの5万3千人に、ライブビューイング、配信で見てくれたお客さんまで合わせると計16万人。ラジオモンスターならではのモンスター級エンタメは、ニッポン放送の人気ラジオ番組がもとになったイベント。僕は現在テレビ局の局員ですが、縁あって総合演出を務めました。こんな感じのテレビと関係のない仕事が多いので

                      • イナダシュンスケ|哀愁のサニーレタス

                        第23回 哀愁のサニーレタス  サニーレタスはよく、何かの下に敷かれて登場します。コロッケ、から揚げ、春巻きなどの揚げ物が多いですが、お弁当だとハンバーグの下に敷かれたりもします。  サニーレタスのもしゃもしゃとした立体的な形状や赤褐色から緑のグラデーションは、確かに茶一色の料理をもググッと引き立ててくれます。そして主役に覆い隠されて見えない部分は、実は配膳の際に、料理の滑り止めとしても機能しています。まさに名脇役。特に居酒屋のテーブルでは、見目も麗しく、実に頼もしいバイ

                        • ピアニスト・藤田真央エッセイ #49〈演奏中に喧嘩が始まり――中国ツアー・後篇〉

                          『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  9月27日、3公演目は上海で行われた。この日は、ツアー中で唯一YAMAHAのピアノを使用した。以前、日本でお世話になっていたヤマハの調律師さんが上海に赴任していたのだ。彼女は素晴らしい才能とほとばしる情熱を持つ方で、上海公演では是非ヤマハのピアノを使ってくれないかと熱心に打診してくれた。  嬉しいことに、このように日本人調律師の方に海外で出会う機会が度々ある。特にヤマハの元

                          • ピアニスト・藤田真央エッセイ #48〈いちばん楽しんでほしかったひとは――初の中国ツアー〉

                            限定発売の締切間近です! 『指先から旅をする〈愛蔵版〉』 完全受注生産のスペシャルエディション版です。 函入りのリッチな装丁&豪華3大特典付きでお届けします。 さらに、ご購入いただいた方から抽選で、 藤田さんのトークショー&サイン会にご招待いたします♬ 〈豪華特典〉 ①スペシャルDVD「ヴェルビエ音楽祭の休日」80分 ②世界中で撮影された写真100点を収めた写真集 ③モーツァルト・ソナタ全曲ツィクリスについての2万字エッセイ ▼通常版はこちら  指先から旅をする、とい

                            • 今井真実 第8回 瞑想は煮込み料理で――とろとろポトフのおいしい秘密

                               鍋のふたを開けると、濁りのない澄んだスープが出来ていた。かれこれ2時間ほど、ことことと煮込まれている。とろとろの牛スネ肉に菜箸を刺すと、なんのとっかかりもなくすっと入った。  まずまず。これは成功と言っていいだろう。味見をするために小皿によそい、そっとすする。ああ。なんて豊かな味だろう! 思わず「いいねいいね」と声が出る。食材の命が丁寧に抽出され、透明なスープに溶け込んでいる。  次に塊のまま煮込んでいた牛肉を取り出し、まな板に載せてスライスした。なんていい眺めなのだろう

                              • 3/29(金) 佐藤ミケーラ倭子×麻布競馬場YouTubeライブ開催!

                                Z世代から大人気のマルチタレント・佐藤ミケーラ倭子さんと、「タワマン文学」が話題の麻布競馬場さんの初対談が実現しました! 佐藤ミケーラ倭子×麻布競馬場 YouTubeライブ配信 【再現】令和の東京で戦ってる男と女 2024年3月29日(金)19:30~ ▼YouTubeライブでどなたでも無料でご覧いただけます! 東京に疲弊しながらも、東京にしがみつく人々をシニカルに描いた小説が「タワマン文学」として支持を集めた麻布競馬場さん。 現代人のあるあるを一人で演じ切る【再

                              • 固定された記事

                              【㊗発売即重版!】ピアニスト・藤田真央さん初著作『指先から旅をする』

                              マガジン

                              • WEB別冊文藝春秋
                                ¥800 / 月
                              • ピアニスト・藤田真央「指先から旅をする」
                                50本
                              • 令和元年の人生ゲーム
                                4本
                              • 宮島未奈「婚活マエストロ」(*小説)
                                4本
                              • 今村翔吾「海を破る者」
                                27本
                              • 稲田俊輔「食いしん坊のルーペ」(*食エッセイ)
                                25本

                              記事

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #50〈ビシュコフとの最強タッグ――チェコ・フィル日韓ツアー〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。 「夢は口に出せば叶う」  ありがちなフレーズではあるが、私もこの言葉には大いに頷きたい。もっとも「横浜DeNAベイスターズの監督になりたい」や「チャーハン専門店を出したい」といったような無理難題、欲深な願いは叶うはずないが、ここ数年、「あの指揮者・あのオーケストラといつか共演したい」という憧憬は徐々に実現しつつある。  2023年10月にアジアツアーで共演した楽団——チェコ・フ

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #50〈ビシュコフとの最強タッグ――チェコ・フィル日韓ツアー〉

                                【新入生応援! 無料公開中】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

                                〈タワマン文学〉の旗手・麻布競馬場待望の第2作『令和元年の人生ゲーム』。発売直後から「他人ごととは思えない!」と悲鳴のような反響が続々と…… 4月、やる気に満ちた新入生の皆さまの応援企画として、第1話〈意識の高い慶應ビジコンサークル篇〉を期間限定で全文無料公開いたします! これを読めば5月病も怖くない……はずです。 『令和元年の人生ゲーム』 第1話 平成31年  2016年の春。徳島の公立高校を卒業し、上京して慶応義塾大学商学部に通い始めた僕は、ビジコン運営サークル「イ

                                【新入生応援! 無料公開中】麻布競馬場『令和元年の人生ゲーム』~意識の高い慶應ビジコンサークル篇~

                                祝・本屋大賞! 宮島未奈最新作「婚活マエストロ」第三話

                                ▼第一話&第二話を期間限定で無料公開中です 第三話 鏡原さんからのLINE通話で叩き起こされた俺は、とりあえず顔を洗ってひげを剃った。用件は何も言われていないが、婚活イベント関連だろう。二週間前にシニア婚活パーティーに行ったときは、取材のつもりだったのにスタッフをやることになってしまった。いずれにせよ、四十男がパーカーにジーパンは好ましくない。  クローゼットを開いてみれば、十年ものの衣装ばかりが入っている。ずっと家で仕事していたから、服装には無頓着だった。こうやって外に出

                                祝・本屋大賞! 宮島未奈最新作「婚活マエストロ」第三話

                                寺地はるな・新連載スタート!「リボンちゃん」#001

                                第1話 商店街のスピーカーから流れてくる調子っぱずれなクリスマスソングにかぶせるように「焼き立てパンはいかがですか」という若い女の店員の甲高い声がひびきわたった。青果店の店主もパン屋に負けじと大声で「しいたけつめ放題だよ!」と客を呼びこむ。  あちらこちらにクリスマスツリーが乱立しており、アーケードの天井からは季節はずれの桜の造花がたれさがっている。色とりどりの看板やのぼり、壁にはポスター。かわいい女の子がにっこり微笑んでいるそのポスターには覚せい剤は絶対にダメである旨が書か

                                寺地はるな・新連載スタート!「リボンちゃん」#001

                                寺地はるな〈はじまりのことば〉

                                 じつを言うと、2016年ごろからずっと小説のアイデアが尽きている。2016年というと、はじめての単行本が出た翌年だ。いくらなんでも尽きるのがはやすぎる。  書きたいことなんかもうなんにもないよ! と思いながらもどうにか絞り出してきたのだが、去年あたりからめっきり体力が落ち、集中力も十五秒ぐらいしか続かなくなり……といったあんばいで、いよいよもうむりなんじゃないかと思いはじめた。  別冊文藝春秋の連載前の打ち合わせで「女性用下着の話を書きませんか(大意)」と言われた時も、反射

                                寺地はるな〈はじまりのことば〉

                                夕木春央「有栖川有栖嫌いの謎」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします

                                一 東京からは一日がかりだった。朝九時に品川駅で担当編集の水戸部氏と待ち合わせて、新幹線で岡山に向かうと、そこからは在来線とバスを乗り継ぐ。バスの本数が少ないから、停留所で二時間余りの暇つぶしが必要だった。  夕暮れ前にバスを降りると、川の向こうに宿泊予定の温泉ホテルが見えた。遠目にもコンクリートのひび割れが明らかな、いかにも古い五階建てだった。見渡す限り、他に背の高い建物はない。 「なんだ、これ地図見なくても余裕ですね。では、あそこまで歩きなので」 「ああ、はい」  水戸部

                                有料
                                300

                                夕木春央「有栖川有栖嫌いの謎」――有栖川有栖デビュー35…

                                白井智之「ブラックミラー」――有栖川有栖デビュー35周年記念トリビュート――をお届けします!

                                ※『マジックミラー』(有栖川有栖・著)の真相に関わる記述があります。未読の方は必ず先にお読みください。 1 友人からメッセージが届くと気が重くなる。何か迷惑をかけただろうか。気を悪くするようなことを言っただろうか。僕は気を揉みながら十分くらいかけてメッセージを開く。するとたいてい、「最近どう?」とか「元気?」とかスカスカの麩菓子みたいな言葉が並んでいる。僕は胸を撫で下ろすが、返信を練るうち、今度はだんだん腹が立ってくる。なぜこんな駄菓子野郎に自分の近況や健康状態を開示しなけ

                                有料
                                300

                                白井智之「ブラックミラー」――有栖川有栖デビュー35周年…

                                堂々完結! 今村翔吾「海を破る者」#026(最終回)

                                荒波に呑み込まれんとする蒙古兵たちを前に、六郎が下した決断とは――。感動の叙事詩、堂々の完結! 「追い首は手柄にならぬ。ましてや抜け駆けならば猶更。ならばいっそのこと救い上げ、それでも向かって来た時に討ったほうがよい」  敗走する敵を討つのは誉とされず、手柄にならぬこともほとんど。それが抜け駆けならば、罰せられることさえあるのは確かだ。  しかし、短い付き合いであるが解る。手柄に拘る自らの流儀は崩さない。そのように見せ掛けてはいるが、それが決して本心ではないことを。季長は沈

                                堂々完結! 今村翔吾「海を破る者」#026(最終回)

                                自意識を素直に認めよう――日テレディレクター・安島隆の愛読書

                                 何の気なしにグッズのスタジャンを羽織って外出するほどには、余韻がぷんぷん残っている。約2ヶ月前の2024年2月18日に開催された「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」。ドームの5万3千人に、ライブビューイング、配信で見てくれたお客さんまで合わせると計16万人。ラジオモンスターならではのモンスター級エンタメは、ニッポン放送の人気ラジオ番組がもとになったイベント。僕は現在テレビ局の局員ですが、縁あって総合演出を務めました。こんな感じのテレビと関係のない仕事が多いので

                                自意識を素直に認めよう――日テレディレクター・安島隆の愛読書

                                イナダシュンスケ|哀愁のサニーレタス

                                第23回 哀愁のサニーレタス  サニーレタスはよく、何かの下に敷かれて登場します。コロッケ、から揚げ、春巻きなどの揚げ物が多いですが、お弁当だとハンバーグの下に敷かれたりもします。  サニーレタスのもしゃもしゃとした立体的な形状や赤褐色から緑のグラデーションは、確かに茶一色の料理をもググッと引き立ててくれます。そして主役に覆い隠されて見えない部分は、実は配膳の際に、料理の滑り止めとしても機能しています。まさに名脇役。特に居酒屋のテーブルでは、見目も麗しく、実に頼もしいバイ

                                イナダシュンスケ|哀愁のサニーレタス

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #49〈演奏中に喧嘩が始まり――中国ツアー・後篇〉

                                『指先から旅をする』が書籍化しました! 世界中で撮影された公演&オフショット満載でお届けします。  9月27日、3公演目は上海で行われた。この日は、ツアー中で唯一YAMAHAのピアノを使用した。以前、日本でお世話になっていたヤマハの調律師さんが上海に赴任していたのだ。彼女は素晴らしい才能とほとばしる情熱を持つ方で、上海公演では是非ヤマハのピアノを使ってくれないかと熱心に打診してくれた。  嬉しいことに、このように日本人調律師の方に海外で出会う機会が度々ある。特にヤマハの元

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #49〈演奏中に喧嘩が始まり――中国ツアー・後篇〉

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #48〈いちばん楽しんでほしかったひとは――初の中国ツアー〉

                                限定発売の締切間近です! 『指先から旅をする〈愛蔵版〉』 完全受注生産のスペシャルエディション版です。 函入りのリッチな装丁&豪華3大特典付きでお届けします。 さらに、ご購入いただいた方から抽選で、 藤田さんのトークショー&サイン会にご招待いたします♬ 〈豪華特典〉 ①スペシャルDVD「ヴェルビエ音楽祭の休日」80分 ②世界中で撮影された写真100点を収めた写真集 ③モーツァルト・ソナタ全曲ツィクリスについての2万字エッセイ ▼通常版はこちら  指先から旅をする、とい

                                ピアニスト・藤田真央エッセイ #48〈いちばん楽しんでほしかったひとは――初の中国ツアー〉

                                今井真実 第8回 瞑想は煮込み料理で――とろとろポトフのおいしい秘密

                                 鍋のふたを開けると、濁りのない澄んだスープが出来ていた。かれこれ2時間ほど、ことことと煮込まれている。とろとろの牛スネ肉に菜箸を刺すと、なんのとっかかりもなくすっと入った。  まずまず。これは成功と言っていいだろう。味見をするために小皿によそい、そっとすする。ああ。なんて豊かな味だろう! 思わず「いいねいいね」と声が出る。食材の命が丁寧に抽出され、透明なスープに溶け込んでいる。  次に塊のまま煮込んでいた牛肉を取り出し、まな板に載せてスライスした。なんていい眺めなのだろう

                                今井真実 第8回 瞑想は煮込み料理で――とろとろポトフのおいしい秘密

                                3/29(金) 佐藤ミケーラ倭子×麻布競馬場YouTubeライブ開催!

                                Z世代から大人気のマルチタレント・佐藤ミケーラ倭子さんと、「タワマン文学」が話題の麻布競馬場さんの初対談が実現しました! 佐藤ミケーラ倭子×麻布競馬場 YouTubeライブ配信 【再現】令和の東京で戦ってる男と女 2024年3月29日(金)19:30~ ▼YouTubeライブでどなたでも無料でご覧いただけます! 東京に疲弊しながらも、東京にしがみつく人々をシニカルに描いた小説が「タワマン文学」として支持を集めた麻布競馬場さん。 現代人のあるあるを一人で演じ切る【再

                                3/29(金) 佐藤ミケーラ倭子×麻布競馬場YouTubeライブ開催!

                                高瀬隼子×大前粟生「怖くてあたたかい小説の世界」|『め生える』『チワワ・シンドローム』を語りつくす初対談!

                                 大前粟生さんの『チワワ・シンドローム』を読んだ高瀬隼子さんの第一声は「待って、こわいこわいこわい」。対等なはずの友人関係に潜む「支配」を鋭く描き出した作品です。  私たちを取り巻くそのような「怖さ」を絶妙に掬い取って小説にするお二人の創作の秘密に迫ります。(司会進行=U-NEXT・寺谷栄人/撮影=松本輝一) ——お二人はちゃんとお話しされるのははじめてなんですよね。高瀬さんは愛媛から大学進学で京都に出られて、大前さんは兵庫から京都に出られて、大学時代を京都で過ごされたとい

                                高瀬隼子×大前粟生「怖くてあたたかい小説の世界」|『め生える』『チワワ・シンドローム』を語りつくす初対談!

                                矢月秀作「桜虎の道」#006

                                第5章1  桜田は一睡もしないまま、事務所に出勤した。自席につき、息を吐くと、そのまま机に突っ伏しそうになる。  そこに、有坂が出勤してきた。 「おはようございます!」  大きな声が桜田の耳に響く。  有坂はカツカツと靴を鳴らし、桜田に近づいてきた。 「おやおや、桜田さん! 元気ありませんねえ。大丈夫ですか?」  有坂が言う。  桜田は顔を向けた。相変わらず、有坂は笑顔だ。心配しているんだか、からかっているんだか、わからない。 「ええ、まあ……」  桜田は太腿に手をついて、

                                矢月秀作「桜虎の道」#006